一般社団法人埼玉県建設業協会

トピックス 2017年5月号

新規入職者の育成・定着目指し
29年度新入社員研修

 平成29年度新入社員研修会が4月11日〜13日までの2泊3日の日程で、伊奈町の埼玉県県民活動総合センターにおいて開催され、会員企業62社から156人(うち女性18社・25人)のフレッシュマン・フレッシュウーマンが参加した。


主催者挨拶をする中村労働委員長

 開講式では、主催者を代表して中村労働委員長が挨拶の中で、コミュニケーション能力などを重視する同研修の意義を強調した上で、「経験値が足りない新入社員としてできる点は、物事に積極的に取り組む姿勢だ。それが周りにやる気という新しい力と新陳代謝を生み、会社に活性化を与えることになる。社会人としての常識と意欲を持ち会社を支える人材へと成長してもらうためにも真剣に取り組んでほしい」とエールを送り、有意義な研修となることに期待した。


講師の花輪先生

 講師は3日間にわたり全国建設産業教育訓練協会・富士教育訓練センターの花輪考樹先生が務め、まず、社会人・企業人としてのスタートにあたり、社会人としての責任と義務、社会人としての基本動作から始まり、挨拶行動訓練、ビジネスマナー(身だしなみ、挨拶、言葉使い、名刺交換、電話対応、接客対応など)、文書作成の基本、グループ研究などのプログラムを精力的に消化、一日目を終了した。

 2日目は、6時に起床、朝礼とラジオ体操から始まり、人員把握、挨拶訓練、指差呼称などの訓練が行われた。続いて、プロ意識確立をめざし、仕事に取り組む決意、自己表現とコミュニケーションづくりのための実践話法演習やスピーチ演習のほか、目標達成に向けたチーム思考と行動を身につけるためのチーム思考訓練、相互理解と親睦を兼ねたグループ研究などのメニューにチャレンジ、初日より緊張感もほぐれ和やかな雰囲気の中で終了となった。

 最終日は、加賀美講師による「建設業と労働安全衛生」(建設現場の危険と危険予知)の講義のほか、花輪講師から社会人としてのより良い自分づくりに向けて、他己改善と自己活性法について講義を受けた後、成果のまとめを行い、研修プログラムのすべてが終了、感想文を提出した後、閉講式に臨んだ。


閉講式で挨拶する小島専務

 協会を代表して挨拶に立った小島専務理事は、協会事業や活動状況を紹介した後、「平成20年頃から人口減少期に入り、建設業においても近い将来、労働力の不足が懸念されており、担い手の確保と生産性の向上が課題となっている。このため官民をあげて雇用労働環境の改善に取り組んでおり、給料が良く、休暇が取れ、将来に希望が持てる新しい3Kへの脱皮を目指しているところ。慣れない社会人生活に入った皆様には、幾多の苦労もあると思われるが、忍耐強く乗り越え永く活躍をしていただきたい。一方、生産性の向上においては、国土交通省が中心となってICT活用工事の推進などに努めている。建設業は県民の安全・安心を支える使命を持っていることを自覚していただくとともに、今回の研修で得た成果を仕事場でさらに発展させていただき、業界の発展を支えていってほしい」とエールを送った。
 続いて、研修生を代表して岩田舞子さん(大野建設)が修了証を受け取った後、臺 友太郎さん(五十鈴建設)が代表謝辞を述べた。

代表して修了証を受け取る岩田さん 代表謝辞を述べる臺(だい)さん

謝辞の中で発表された臺 友太郎さんの感想文を紹介します。

 「この度は、私ども新規採用社員を対象とする研修を開いていただきありがとうございました。研修には建築、土木、専門工事業などの様々な企業の方々が参加されており、交流を深めながら多くのことを学べたと思います。
 この研修で学べたことは大きく分けて三つあります。一つ目は社会人としてのマナーについてです。今後、社会人となる上で、相手を敬いつつ行動する実践方法について多くを学びました。二つ目は、協力・コミュニケーションの大切さです。グループワークを通して初対面の人と協力して仕事をすることの難しさ、相手の考えを理解して計画するコミュニケーションの重要性を学ぶことができました。そして最後は、社会人としての心構えです。講師の方々からは、会話上手になることや、社会人の基本的心得といった、社会人としてとるべき行動について多くを教わりました。改めて、この2泊3日の研修は、社会へ出ていく上でとても良い経験を得られたと思います。
 最後になりますが、企画してくださった埼玉県建設業協会の皆様方、本当にありがとうございました。重ねて感謝申し上げます。今回の研修で学んだことを実践し、素晴らしい仕事人生をスタートさせることができると思います」 。


第2回ICT土工体験講座開く
会員企業・発注機関など多数参加

 当協会は、関東地方整備局の協力により、「ICT土木体験講座(埼玉県ブロック)第2回」を4月19日午前10時からさいたま市西部環境センターで開催、当協会会員企業から17社44人、また、関東地方整備局、埼玉県飯能・東松山・越谷・杉戸・本庄県土整備事務所、埼玉県総合治水事務所、さいたま市技術管理課・道路計画課・工事検査課・南部下水道建設課・大宮駅西口まちづくり事務所、日本建設情報総合センターなど、発注関係機関から25人が参加した。
 同講座は、荒川上流河川事務所発注のICT活用現場(H28荒川西区宝来下広野築堤工事-受注者・サイレキ建設工業)において、3次元起工測量からICT建機による施工、3次元出来形管理まで、実施段階順にICT土工を体験してもらおうというもの。


あいさつする星野会長

 開会に先立ちあいさつに立った星野会長は、発注者、受注者の会場設営に対し感謝の意を述べるとともに、「建設業は他産業に比べて高齢化が進んでおり、厳しい労働環境から若い人が入職してこない状況が続いている。一方、「働き方改革実行計画」における時間外労働削減は建設業も例外ではなくなった。時間外労働を減らしていくためには生産性の向上が重要であり、ICTの流れは益々加速するものと思われ、地元業者としても的確に対応していかなければならないとの観点から本講座を開催した。平成28年度の直轄工事において580件以上のICT土工が実施されており、荒川、利根川を抱える埼玉県では全国でもICT土木の施工が多い。地域の建設業を支援していくためにもこのような機会を今後も設けていきたい」と述べた。


あいさつする加藤部長

あいさつする野中社長

 荒川上流河川事務所の加藤所長も、「建設産業は地域のインフラとして、災害対応をはじめ、維持管理など地域の安心・安全を支える重要な産業。星野会長ご指摘のとおり、建設現場の生産性向上は重要との認識のもと、関東地方整備局では「地域インフラサポートプラン関東」の取り組みを開始している。本講座が、建設業の方々をはじめ発注機関の皆様方のICT施工活用の一助となることに期待する」とあいさつ。
 午前中に開催された座学では、受注者であるサイレキ建設工業の野中社長のあいさつに続き、栗原裕樹・監理技術者により、①工事の概要・ICT活用施工の概要説明②3次元起工測量③3次元データ処理④ICT建設機械による施工⑤3次元出来形管理について解説が行われた。
 本工事は、さいたま市西区宝来地先の延長約230mの築堤工事で、施工者希望Ⅰ型で入札されている。施工するサイレキ建設工業の提案により、のり面整形などにICTブルドーザーやバックホーが活用されている。

 午前中の座学に続き、午後からは施工現場に会場を移し、参加者にマシンコントロール(MC)ブルドーザーやマシンガイダンス(MG)ショベルなどに試乗体験をしてもったほか、UAV(無人飛行機)、3Dレーザースキャナー、自動追尾型トータルステーションによる測量などを体験、関東地方整備局の大西局長も試乗し、「改めて生産性向上の大きな武器になると思った。舗装工事をはじめとして工種をひろげていきたい」と感想を述べた。

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