トピックス 2016年4月号
タイ国の下水道普及啓発へ
官民一体で技術支援
「埼玉県海外下水道推進協議会」との相互協力に関する協定書の締結式が2月24日午前10時30分から知事公館で開かれ、三井隆司下水道事業管理者をはじめ、当協会の真下会長、埼玉県建設コンサルタント技術研修協会の安田陽一会長、埼玉県下水道施設維持管理協会の澤田正彦会長、前澤工業の松原正社長による調印が行われた。
埼玉県下水道局では、タイ下水道公社に対し平成24年度から平成26年度までの3ヵ年、「JICA草の根技術協力事業」を通して、タイ王国下水道処理場の維持管理技術の向上を目的とした支援を実施してきた。この取り組みによりタイ下水道公社との信頼関係が構築され、さらなる事業の継続要請があったことから、今年2月5日に支援事業に関する合意書の締結が行われ、今回の相互協力に至ったもの。
支援事業では、タイ下水道公社の「技術者の育成」と「タイ王国下水道の普及啓発」を目的に、埼玉県下水道の技術、運営方法の提案などを通じ、タイの自治体、民間事業者などに向けた下水道の普及啓発が進められる。
協議会メンバーの挨拶の中で、真下会長は「埼玉県下水道局とは、昨年6月に災害時応急復旧の協定が締結され、実地訓練も行われるなど、緊急に対する備えも着々と進められている。かねてより上田知事から海外進出を勧められ研究してきたが、この度のタイ支援のお話があり、将来の足掛かりになればと期待している。当協会としても、建設・管理・修繕施工などの分野における技術支援のために、会員が持っている施工技術や管理技術を提供するなど、可能な限り協力していきたい」と述べた。
海外下水道推進協議会
タイの下水道施設を視察
2月24日に締結した「海外下水道推進協議会の相互協力に関する協定」に基づき、今後の技術支援に向けたタイ王国の現地調査が行われ、当協会から原専務が参加した。
調査の日程は、3月6日から10日までの5日間で、埼玉県下水道局下水道管理課、埼玉県建設コンサルタント技術研修協会、埼玉県下水道施設維持管理協会、前澤工業、埼玉県下水道公社などから総勢10名が参加した。到着した一行はまず、タイ下水道公社において「下水道技術支援のための合意書」に調印を行った後、「シラチャ下水道処理施設」において事業説明を受けた。タイでは、マンションや家庭などの地下に腐敗槽が設置されており、上水を道路側溝に放流、地域で一番低い場所にある「中継ポンプ場」で自然流下により集水した後、高い場所にある下水道処理施設まで圧送して汚水処理を行っている。処理方法は、流入→曝気→分解→沈殿→放流だが、稼働状況は、系列で汚水処理ができていないのが現状。そのほか、「バンサレー処理場」や「アマタナコン工業団地の下水道処理施設」なども見学、短期間ではあったが、当協会としての技術支援分野は①土木構造物のメンテナンス方法や修繕の技術支援②パイプ工事の技術支援③ワークショップにおける各種下水道工事の工法紹介④タイ下水道公社職員が研修で来日した際の工事現場などの視察協力、などが挙げられることが判った。
1〜3級に529名が挑戦
平成27年度(下期)建設業経理検定試験
平成27年度(下期)建設業経理検定試験が3月13日、さいたま市の芝浦工業大学で行われた。
受験申込者は延べ873名(昨年は847名)。このうち受験者は529名(昨年は514名)で、受験率は61%(昨年は61%)。
受験科目の内訳は、1級財務諸表に56名、1級財務分析に42名、1級原価計算に59名、2級に2293名、3級に79名の計529名の結果となった。
この検定試験は、建設業振興基金が各都道府県建設業協会などに委嘱して全国一斉に実施したもので、試験監督および試験監督補佐に、協会職員ら16名、ユーディケー、埼玉建興、和光建設、斎藤工業の会員企業からそれぞれ2名、東日本建設業保証埼玉支店4名の、計28名のスタッフが試験進行に当たった。
担い手確保・育成NWが発足
会長に古郡建産連会長就任
国・県・各団体が相互に連携・協力して県内建設産業の若手技術者と技能労働者の確保・育成に取り組もうと、「埼玉県建設産業担い手確保・育成ネットワーク」が発足、3月28日午前10時30分から建産連研修センター200会議室において設立総会が開催された。
建産連の呼び掛けにより参加した団体・機関は、建設産業団体から29団体、教育機関2箇所、国機関4箇所、県3箇所の計38者。当日は、来賓として埼玉県から岩崎副知事、建設業振興基金からは内田理事長と中緒部長が出席、ネットワークのスタートを祝った。
総会においては、事業実施計画などを審議した後、規約により会長に古郡建産連会長が就任した。
古郡会長は挨拶の中で「建設産業は労働者の高齢化率が高く、逆に若年者の比率が極めて低い状況にある。理由としては、賃金の安さ、休暇が不規則、雇用の不安定などが挙げられるが、若者に敬遠されるだけでなく、入職した高卒の50%、大卒の30%が3年以内に離職している。これを1企業、1専門工事業の団体の努力で解決することは困難で、アンケート調査で各団体が担い手の確保対策で苦慮していることがわかり、併せてネットワークへの期待も大きいことがわかった。これらを踏まえ、建産連が主体となり、多数の関係団体、国、県の関係機関、ものつくり大学などの方々のご参加をいただき、当ネットワークを設立することとした」と述べ、産・官・学が一体となり担い手確保・育成のための体制を構築し、必要な事業を実施していく考えを示した。
今年度の主要事業としては、入職促進のための広報・イベント、インターンシップ、現場見学会、合同業界説明会、職場定着・資格取得を目的とした新人社員研修、フォローアップ研修、資格取得支援研修、シニア指導者育成研修、また、女性活躍を促進するための現場見学会や研修などが計画されている。
あいさつする古郡建産連会長
関東建設
完全週休2日制で近隣住民と従業員にアンケート
関東建設(株)(大里郡寄居町 新井優幹社長)は、熊谷県土事務所が発注し同社が受注した「主要地方道飯能寄居線バリアフリー安全対策工事」において、自主的に「完全週休2日制現場」に指定、工事終了後に近隣住民と従業員からアンケート調査を実地した。
この中において、住民からは①一度始めた工事は休工日を少なくしても早期完成が望ましい②休工日を土日限定にしないで現場の実情に合わせて臨機応変に考えるべき③休工日は安全に対して不安を感じたなどの意見が寄せられたのに対し、現場従業員サイドからは①休みが増えると収入が減るので改善してほしい②現場が遅れるので工期に間に合わせるための段取りを完璧にする必要があるなどの課題が指摘された。
新井社長は、「弊社としても若者の入職に対する危機感は大きく、週休2日制導入は必要不可欠との判断から試験的に実施したが、従業員と近隣住民の考えに隔たりがあることが判った。建設業の週休2日制は困難かもしれないが、避けては通れない事案として業界全体で努力していくべき」と述べ、アンケート結果の有効活用を望んだ。
近隣住民アンケート結果
1.土曜日が休工に対しての感想
良かった |
5人 |
良くなかった |
2人 |
分からない |
2人 |
2.「良かった」理由は?
土曜日に交通規制がない方が良い |
3人 |
自分が休みなので工事も休みで良い |
1人 |
その他 |
0人 |
3.「良くなかった」理由は?
工事の進捗が遅くなる |
1人 |
安全確保が心配 |
0人 |
その他 |
1人 |
4.本現場での週休2日の取り組みはどの様に感じましたか?
良い取り組みである |
7人 |
休みより現場を進めてほしい |
1人 |
その他 |
0人 |
5.現場代理人の週休2日への対応はいかがでしたか?
大いに満足 |
3人 |
まずまず満足 |
3人 |
普通 |
1人 |
不満足 |
0人 |
6.現場での週休2日制導入について気になったり疑問を感じたことがありましたか?
意見等を下記に羅列します
- 発注者・受注者共に工期や工程を良く打ち合わせしてもらえば良いと思う
- 商売をしているので年末にはどんどん工事を進めてほしい
- 職人さん達は週休2日でリフレッシュしているので良かったのではと思う
- 土曜日に交通規制がない方が商売の邪魔にならなくて良かった
- 週休2日の曜日を(日・月)(金・土)(水・木)など工夫してほしい
現場従業員アンケート結果
1.当現場が休工の時の過ごし方
稼働している他現場で働いた |
11人 |
家族と過ごした |
3人 |
趣味に使った |
5人 |
2.「他現場で働いた」理由は?
会社の指示により |
9人 |
自分の判断で他現場が忙しそうだから |
2人 |
他にやることが無いから |
0人 |
3.今の状況で週休2日になって困ることがありますか?
収入が減る |
14人 |
時間の使い方がわからない |
0人 |
工期が心配 |
5人 |
その他 |
0人 |
4.本現場での週休2日はいかがだったでしょうか?
工程に無理があった |
2人 |
住民から苦情を言われた |
0人 |
段取りが大変だった |
4人 |
問題は無かった |
11人 |
5.現場代理人の週休2日への対応はいかがでしたか?
大いに満足 |
3人 |
まずまず満足 |
3人 |
普通 |
10人 |
不満足 |
2人 |
6.本現場で週休2日制への近隣住民の反応で感じたことはありますか?
迷惑そうだった |
0人 |
土曜休みで感謝された |
2人 |
普通 |
12人 |
特になし |
6人 |
7.週休2日制導入について気になったり疑問に感じたことがありますか?
意見等を下記に羅列します
- 休みが増えると収入が減ることを改善してもらいたい
- 現場の進歩が遅くなるので、段取りを完璧にしてもらいたい
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