トピックス 2016年1月号
平成27年度
【県内建設業の経営及び従事者の実態等に関するアンケート結果】
(一社)埼玉県建設業協会
Ⅰ調査の趣旨、目的
◆昨年6月に改正品確法など「担い手3法」が成立し、今年度は、その「運用元年」であります。
適正利潤の確保を可能とする予定価格の設定、歩切りの根絶やダンピング対策、担い手確保・育成などに関することが明記され、それらが受発注者双方の立場において責務となっております。
今後は、国はもとより、各地方自治体の姿勢や対応状況を注意深く注視していく事になりますが、引き続き、地域建設業の中長期的に担い手が確保でき、継続的な経営が可能となるよう建設予算を安定的に確保し、地域建設業の受注機会確保、拡大を関係機関に要望してまいりたいと考えており、その基礎資料として活用することを目的とします。
Ⅱ 調査対象、実施時期
対象企業:会 員 (418社:平成27年8月1日現在)
実施時期:平成27年8月3日(月)〜28日(金)
Ⅲ アンケート内容
(1)回答企業の概要について
◆回 答 数:104社(回答率約25%)
※無記入の箇所もあるため、回答社数と整合が取れない場合があります。
また、端数処理の関係上、合計値が100%にならない場合があります。
◆地域区分(無記入社あり)
1.県南部地域(さいたま・北本・朝霞の各県土整備事務所管内):36社
2.県西部地域(川越・飯能・東松山の各県土整備事務所管内):29社
3.県北部地域(熊谷・秩父・本庄の各県土整備事務所管内):17社
4.県東部地域(越谷・行田・杉戸の各県土整備事務所管内):21社
◆業種及びランク(重複有り及び無記入社あり)
土木 【@:17社 ・A:60社 ・B:7社 ・C:2社 ・D:2社 】
建築 【@:15社 ・A:12社 ・B:10社 ・C:3社 ・D:7社 】
電気 【A :4社 ・B:3社 ・C:0社 】
管、空調 【A :8社 ・B:3社 ・C:1社 】
造園 【A :4社 ・B:3社 ・C:0社 】
舗装 【A :16社 ・B:8社 ・C:2社 ・D:0社 】
◆資本金(無記入者あり)
1.1千万円未満 |
【 2社 】 |
2.1千万円以上〜3千万円未満 | 【40社】 |
3.3千万円以上〜5千万円未満 | 【24社】 |
4.5千万円以上〜1億円未満 | 【30社】 |
5.1億円以上 | 【 7社 】 |
◆平成26年度完成工事高(無記入社あり)
|
前々回調査 | → | 前回調査 | → | 今回調査 |
1.1億円未満 |
【 1社】 | ・・・・・ |
【 6社:6% 】 | ・・・・・ |
【 3社:3% 】 |
2.1億円以上〜3億円未満 |
【21社】 |
・・・・・ |
【19社:18%】 |
・・・・・ |
【15社:15%】 |
3.3億円以上〜5億円未満 |
【 8社】 |
・・・・・ |
【20社:19%】 |
・・・・・ |
【20社:20%】 |
4.5億円以上〜10億円未満 |
【28社】 |
・・・・・ |
【23社:22%】 |
・・・・・ |
【23社:22%】 |
5.10億円以上 |
【36社】 |
・・・・・ |
【37社:35%】 |
・・・・・ |
【41社:40%】 |
結 果:前年度に比べ、「完成工事高」の額が高い会員割合が増加。
◆従業員数(無記入社あり)
1.10人未満 | 【 15社 】 |
2.10人以上〜30人未満 | 【 55社 】 |
3.30人以上〜50人未満 | 【 8社 】 |
4.50人以上〜100人未満 | 【 18社 】 |
5.100人以上 |
【 7社 】 |
2.経営環境について(現状と課題)
◆経営状況
①経営状況について、1年前と比較してどのような状況ですか。(無記入社あり)
|
前々回調査 | → | 前回調査 | → | 今回調査 |
1.良い | 【 4社: 5%】 | ・・・・・ | 【 6社: 7%】 | ・・・・・ | 【 5社: 5% 】 |
2.少し良い | 【 21社:24%】 | ・・・・・ | 【 29社:31%】 | ・・・・・ | 【 24社: 24% 】 |
3.横ばい | 【 39社:44%】 | ・・・・・ | 【 40社:43%】 | ・・・・・ | 【 44社: 45% 】 |
4.少し悪い | 【 11社:12%】 | ・・・・・ | 【 12社:13%】 | ・・・・・ | 【 15社: 16% 】 |
5.悪い | 【 11社:13%】 | ・・・・・ | 【 4社: 4%】 | ・・・・・ | 【 7社: 7% 】 |
6.わからない | 【 2社: 2% 】 | ・・・・・ | 【 2社: 2%】 | ・・・・・ | 【 3社: 3% 】 |
結 果:「良い」「少し良い」が3割弱あるものの過年度に比べ「横ばい」
「少し悪い」が増加傾向。今後の建設投資などの見通しを懸念。
②最新の工事利益はどうですか。【1社当たり平均値】(無記入社あり)
|
(前々回調査) |
(前回調査) |
【今回調査:H26年度実績】 |
完成工事高 |
1,815(百万円) | 1,617(百万円) | 2,050(百万円) |
工事原価 |
1,648(百万円) | 1,457(百万円) | 1,843(百万円) |
工事粗利 |
167(百万円) | 159(百万円) | 207(百万円) |
同利益率(%) |
9.2(%) | 9.8(%) | 10.1(%) |
一般管理費 |
150(百万円) | 130(百万円) | 152(百万円) |
工事利益 |
18(百万円) | 30(百万円) | 56(百万円) |
結 果:完成工事高、工事原価などの増加に伴い、工事利益は「増加」を示した。
③この1年間における定期昇給、ベースアップについて(無記入社あり)
◆定期昇給
|
(前々回調査) |
|
(前回調査) |
|
【今回調査】 |
・【有 : |
57% |
・・・・・・ |
54% |
・・・・・・ |
67% 】 |
・【無 : |
43% |
・・・・・・ |
46% |
・・・・・・ |
33% 】 |
◆ベースアップ
|
(前回調査) |
|
【今回調査】 |
・【有 : |
― |
|
41% 】 |
・【無 : |
― |
|
59% 】 |
④この1年間におけるボーナスの支給について(無記入社あり)
|
(前々回調査) |
→ |
(前回調査) |
→ |
【今回調査】 |
・H26年 夏期 |
【 有 :74% 】 |
・・・・・ |
【 有 :73% 】 |
・・・・・ |
【 有 :93% 】 |
|
【 無 :26% 】 |
・・・・・ |
【 無 :27% 】 |
・・・・・ |
【 無 : 7% 】 |
・H26年 冬期 |
【 有 :77% 】 | ・・・・・ |
【 有 :79% 】 | ・・・・・ |
【 有 :93% 】 |
| 【 無 :23% 】 | ・・・・・ | 【 無 :21% 】 | ・・・・・ | 【 無 : 7% 】 |
・H27年 夏期 | 【 有 :72% 】 | ・・・・・ | 【 有 :75% 】 | ・・・・・ | 【 有 :91% 】 |
| 【 無 :28% 】 | ・・・・・ | 【 無 :25% 】 | ・・・・・ | 【 無 : 9% 】 |
結 果:定期昇給【有り:増加】・ベースアップ【「有り」が、4割超えとなる。】
ボーナス支給 【「支給有り」が、9割超えとなる。】
⑤現在、経営上及び技術上、最も懸念していることは何ですか。(重複社あり)
| | (前々回調査) |
| (前回調査) |
| 【今回調査】 |
経営上 |
1.受注高減少による経営状況 | 【23社:23%】 | ・・・・・ | 【23社:22%】 |
・・・・・ | 【42社:41%】 |
| 2.受注競争激化による収益低下 | 【65社:65%】 | ・・・・・ | 【67社:63%】 |
・・・・・ | 【42社:41%】 |
|
3.売掛金回収不能等による財務内容 |
【 0社:0% 】 | ・・・・・ | 【 1社:1% 】 | ・・・・・ |
【 1社:1% 】 |
|
4.社員の継続雇用関係 |
【 9社:9% 】 | ・・・・・ | 【13社:12%】 | ・・・・・ | 【17社:16%】 |
|
5.その他 |
【 3社:3% 】 | ・・・・・ | 【 2社:2% 】 | ・・・・・ |
【 2社:2% 】 |
|
技術上 |
1.技術力継承の不安 | 【54社:60%】 | ・・・・・ | 【26社:25%】 |
・・・・・ | 【20社:19%】 |
| 2.災害防止活動等の地域協力 |
【 5社:6% 】 | ・・・・・ |
【 1社:1% 】 |
・・・・・ |
【 1社:1% 】 |
| 3.技術社員の継続雇用関係 | 【27社:30%】 | ・・・・・ | 【10社:10%】 |
・・・・・ | 【13社:12%】 |
| 4.技術社員の人員不足 | ― | ・・・・・ | 【63社:61%】 |
・・・・・ | 【72社:67%】 |
| 5.その他 |
【 4社:4% 】 | ・・・・・ |
【 3社:3% 】 |
・・・・・ |
【 1社:1% 】 |
結 果:受注競争激化による収益低下は、依然として各社の大きな課題であるが、
合わせて受注高減少が経営に強い影響を与えてきていることがわかる。
技術上では、技術者の高齢化とともに若手雇用問題を含む「技術(技能)社
員の人員不足」が懸念事項として増加してきている。
⑥今後の経営見通しについて(無記入社あり)
|
(前々回調査) | | (前回調査) | | 【今回調査】 |
1.全く心配ない | 【 0社: 0% 】 | ・・・・・ | 【 2社: 2% 】 | ・・・・・ |
【 1社: 1% 】 |
2.工夫して乗り切る | 【 73社:76%】 |
・・・・・ | 【 76社:74%】 |
・・・・・ |
【 81社: 79% 】 |
3.存続が心配 | 【 13社:14%】 | ・・・・・ | 【 19社:18%】 | ・・・・・ |
【 13社: 13% 】 |
4.わからない |
【 10社:10%】 | ・・・・・ |
【 6社:6% 】 | ・・・・・ |
【 7社: 7% 】 |
(3−1)社員数について (入職率・定着率)
①社員(常用雇用)の職種別、年齢階層別について
【平成27年7月1日現在】
職種・年齢 |
20才未満 (人) |
20才以上〜 30才未満 (人) |
30才以上〜 40才未満 (人) |
40才以上〜 50才未満 (人) |
50才以上〜 60才未満 (人) |
60才以上〜 65才未満 (人) |
65才以上 (人) |
事務・営業 |
5 |
133 |
140 |
264 |
221 |
101 |
90 |
技術者 |
19 |
332 |
304 |
597 |
493 |
178 |
86 |
技能労働者 |
17 |
72 |
122 |
124 |
116 |
95 |
41 |
外国人雇用・ 技能実習など |
0 |
16 |
8 |
9 |
2 |
0 |
2 |
※ 6社 37人 |
外国人雇用・技能実習など 【6社 37人が活躍】
②平成26年度〜平成27年度の現在までの「社員数」について(常用雇用者)
【各年度:社員数調べ】
社 員 数 |
平成26年度(人) |
平成27年度(人) |
男 性 |
女 性 |
男 性 |
女 性 |
事 務・営 業 |
519 |
404 |
540 |
424 |
技 術 者 |
1,921 |
38 |
1,943 |
45 |
技 能 労 働 者 |
573 |
5 |
585 |
6 |
計 |
3,013 |
447 |
3,068 |
475 |
◆女性社員割合(平成27年度・職種別)
③従業員数の今後5年間における見通しについて
(H25調査) 【大きく減少2%・微減12%・横ばい66%・増加20%】
【今回調査】 【大きく減少6%・微減20%・横ばい52%・増加22%】
(3-2)新規社員数(入職)について
①平成26年度 新卒者入職状況について 【「職種別」「学歴別」】
※(H26.8.20調査資料参照)
職種・学歴 |
高等学校卒(人) |
専門学校卒(人) |
短大・高専卒(人) |
大卒(院卒含む)(人) |
その他(人) |
男性 |
女性 |
男性 |
女性 |
男性 |
女性 |
男性 |
女性 |
男性 |
女性 |
事務・営業 |
3 |
2 |
1 |
0 |
0 |
2 |
5 |
9 |
0 |
1 |
技術者 |
13 |
2 |
8 |
0 |
2 |
0 |
39 |
3 |
6 |
0 |
技能 労働者 |
4 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
9 |
0 |
②平成27年度 新卒者入職状況について 【「職種別」「学歴別」】
※(今回調査)
職種・学歴 |
高等学校卒(人) |
専門学校卒(人) |
短大・高専卒(人) |
大卒(院卒含む)(人) |
その他(人) |
男性 |
女性 |
男性 |
女性 |
男性 |
女性 |
男性 |
女性 |
男性 |
女性 |
事務・営業 |
0 |
7 |
4 |
3 |
0 |
3 |
9 |
14 |
0 |
0 |
技術者 |
14 |
2 |
16 |
1 |
2 |
0 |
45 |
4 |
0 |
0 |
技能 労働者 |
11 |
0 |
7 |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
③平成28年度 新卒者採用見込み(予定・希望)状況について
【「職種別」「学歴別」】
※(今回調査)
職種・学歴 |
高等学校卒(人) |
専門学校卒(人) |
短大・高専卒(人) |
大卒(院卒含む)(人) |
その他(人) |
男性 |
女性 |
男性 |
女性 |
男性 |
女性 |
男性 |
女性 |
男性 |
女性 |
事務・営業 |
1 |
4 |
0 |
1 |
0 |
1 |
10 |
6 |
0 |
0 |
技術者 |
27 |
4 |
25 |
1 |
12 |
1 |
54 |
8 |
4 |
0 |
技能 労働者 |
16 |
0 |
10 |
0 |
1 |
0 |
1 |
0 |
6 |
0 |
(4)その他(意見要望)について
◆【建設業における担い手確保・育成について】 −(抜 粋)−
●総 論
- 企業が適正利益を確保できるような発注方法、体制が図られないと継続雇用、社員育成等、生産性向上につながらない。
- いつ会社を辞めてしまうか分からない者を数百万円かけて人材育成するほど、今の企業には、余力がない。一般的な職業より危険な仕事なのに人件費は、普通の会社員より給与が安いから優秀な人材は来ないし雇用も出来ない。
- 新卒者の募集を行いたいところであるが、確実に工事の受注が出来ないため、人手を増やしても経費倒れが予想される。また、工事が受注出来たとしても、新人教育するだけの経費、時間等が無いのが現状である。
- 設計価格や予定価格が指値である以上、最低制限価格での工事は、最低価格の材料を最低賃金の労務者で施工せざるを得なく、人材の確保や育成にまで手が回らないのが実情です。
- 公共工事を設計金額に近い額で落札し、賃金が上がるようになれば、人材確保がし易いと思う。
- 発注者も担い手確保、育成について請負者だけに任せるだけでなく、育成費を含めた単価で発注して欲しい。(実際の育成費と諸経費率の兼ね合いを明確化すべき)・法令をつかさどる行政においても共に協力してほしい。
- 私も理工系の子供を持っているが就職活動で大手の建設会社を希望されると反対できない。我々、中小建設会社の経営が安定しており、20年・30年後も良い仕事をすれば生き残っていけるのであれば無理してでも会社に入れるが、自由競争のみで「調査基準価格の探り合い」&「クジ引き」で落札者が決まるような業界ではそれも難しい。
・学歴がある人が高収入なるのは分かるが、学歴は無くても手に職を持っている人、資格を持っている人、一生懸命に頑張っている人が確実に高収入を得られるような社会構造にしていかなければならない。
- 弊社は特に専門分野に特化した業務となっており、現在の社員の育成に最も力を注ぎ現状維持を最終目標としている。
- 重層下請けについて検討の余地がある。
●担い手確保・育成の具体策
【給与(労務単価を含む)、福利厚生等の労務環境の改善】
- 建設業の将来を担う若者が定着するために、給与体系及び福利厚生などを明確にし、男女を問わず働ける魅力ある職場づくりが重要。
- 仮設負担削減に建設機械や用具の進歩を図ることと現地での生産工程を削減することで事故のリスクが無いこと。(職場が安全であること)
配置技術者において権限委譲した交替要員を認め、休暇取得を平易にする。残業時間集中の分散化を図る。給料等の報酬が魅力ある待遇であること。(福利厚生、待遇の充実)
- 3K、5Kのイメージが悪い建設業から魅力ある建設業を「賃金」を含めて考える必要がある。
・更に3K労働(危険・汚い・きつい) のイメージが染みついた業界に人を呼ぶのであれば、他業種よりも 仕事が安定し、賃金が高く、休日が多く取れるような、魅力ある業界にしなければならない。
★【公共事業予算の安定的かつ持続的な確保、見通しの明確化】
- 若者の入職、定着を促し、人材を確保するため、次の改善をお願いしたい。
・週休2日の確保のため、不稼働日等を見込んだ適正な価格設定
・官民で週休2日制の実現を目指す
・公共事業予算の安定的かつ持続的な確保
- 他産業と同等の給与水準及び休日形態が必要。
- 他の業種と比較した場合、天候に左右されることが多く夏場の暑さ、冬場の寒さ、梅雨時の天候など屋内勤務と比較したら現代の若者にとっては、魅力のない仕事だと思います。今までの観念を捨てて作業環境が悪いのを補う経営が必要と思う。それには、給与の固定と屋内作業員と比較して建設業の方が作業環境、給与面も良いと言われるような経営をしていかなくては、新入社員はもとより他の従業員の固定も考えられません。
- 担い手確保のためには処遇改善しかないと思う。現場の週休二日、平均給与の増大等が重要と思う。育成については、若者の定着(処遇改善)を推進していけば、自然と経験が重なり育成につながると思う。
- 少子化の上、土木、建築を学ぶ学生が減っています。その上、大手ゼネコン、地方自治体、大手ハウスメーカ等々、大企業や役所の若手囲い込みは激しさを増しています。地方の中小企業に入職してくれる技術職の学生は皆無に等しい状況です。きつい仕事でも収入が公務員給与並みになれば入職者も増えると思います。しかし、適正な価格で受注できない状況では、企業に利益は残りません。よって、社員に少しの賞与しか支給できません。
3Kの職業であっても、収入がそれに見合ったものであれば、入職者は必ず増えると思います。金額重視の発注が続くようであれば、担い手確保どころではなく建設業の未来は無いと思います。
- 人材確保のため処遇改善は給与所得以外に福利厚生の充実(独身寮・社員旅行など)や週休二日制の導入などが求められると考えます。いずれにしても処遇改善には費用が掛かることから収益との兼ね合いとなると考えます。
- まず企業に適正な利益が残るような発注をしてもらう事だと思います。「適正工期をきちんと加味した適正な価格での発注」これに尽きると思います。価格を考慮しない適正工期では更なる悪循環を生み、中小建設業は崩壊します。
- 最低制限価格のアップ。年度前半の仕事の確保が出来れば担い手の確保、育成は可能。
【週休2日制の実現(適正な工期設定)】
- 「適正工期の設定」を発注者側がもっと理解いただけるようになるとよい。専門工事業の職人は一昔前、サラリーマン以上に稼げた人もいた。今はそうではないようですが、このような背景が若者離れにつながっていると思います。
- 若者にとって魅力ある建設業を目指す。週休2日制に移行。そのためには、適正工期の設定、積算単価・歩掛りの見直しを発注者に働きかける。そして、若者の大幅な入職増が望めない現在、社員の質を向上させる必要がある。そのために、優良社員言動の見える化により、業務効率、業務品質を向上させる 。
- 建設業が若者から魅力ある業界になる為には、週休2日にする事が第一と考えます。例えば製造業は週休2日が定着しつつある中、建設業だけは土曜日は仕事、日曜日も直前にならなければ休めるか分からないという現状を改めなければなりません。建設新聞に連載中のコラムでも若者が役所に勤めた理由の多くに自分の時間が取り易いという事が書かれています。週休2日を進める為には、役所の強い指導により大手ゼネコンを旗振り役に我々中小企業を指導して貰う方法をとらなければ実現は厳しいと思います。是非、早期に建設業の週休2日が実現する様にしていただきたい。
育成については、技術者の育成はやはり現場での経験が第一です。切れ目ない発注によって現場での経験を積ませていただきたいと思います。しかし、育成も若者が建設業に継続して勤めてくれなくては一人前にできません。やはり、育成にも週休2日は欠かせないでしょう。
【事務改善等(提出資料の見直しなど)】
- 建設業に従事している現場担当者は適正な休日の確保は難しく残業時間も一般に比べて非常に多い。それは適正な工期設定がなされていない、不必要と思われる書類を短期間に要求される等の理由が挙げられると思う。これらの改善がない限り新しい担い手である若者が建設業に魅力を感じて従事することは難しいし、入ってきてもすぐ転職をしてしまう。
- 完成書類も簡素化していただきたい。書類作成が多すぎる為に、検査前だけでなく毎日の残業が増えてしまい技術者が平日のアフターファイブに自分の時間をとる事ができなくなっているのが現実です。このことは、役所の考え方を改めていただく事により解決できるので是非お願いしたいです。
【建設業のイメージアップ向上】
- 環境整備が急務! 若手は建設業界について身近な業種・業界と捉えていないのでは?
(特にイメージから・周りの人からの話助言等により少し引き気味と感じる)
- 建設業は社会のためになっている仕事で、プライドのもてる職業であると若者が思える事が重要であると思う。しかし、現状では公共工事は悪者扱いされ、我々も「工事はやらせる・もらっているんだ」との認識を持って行うよう指導されてきた。この様な状況でプライドを持って建設業に従事しようと思うはずはないので、発注者には世間に対して卑屈にならず施工業者には「必要な工事を行っているんだ」との毅然とした態度を取るようにしてほしい。
- 弊社においても直接雇用の技能労働者が年々減少の一途をたどっている状況です。人材確保の手段としては、ハローワークを利用した求人や東北での現地面接会等を実施しているが期待された効果が得られないのが実情であり、特に20代や30代の若年層に関しては、採用応募者が無に等しい状況です。
今後、現在雇用している技能労働者の高齢化が進む中で、次世代の人材を確保することが深刻な問題であり、総じて、現在の若者全般的に建設業に対する関心が薄らいでいることが、若年層の採用に影響していると思われます。業界における人手不足の問題を解決するためにも、求職者に対して建設業の魅力、「生活基盤にとっての重要性」「自然環境の中での物造り」「手に職をつける」など、様々な魅力を感じてもらい関心を持ってもらうことであると思います。
【インターンシップの推進、企業合同説明会、現場見学会、企業PRなど】
- 高校、大学等の進路指導において、建設業が今後決して無くならない業種であること、また、技術を身に付けると一生ものであることを力説してほしい。併せてIT業界のように30代でリストラに遭うということもなく、一生涯働いていける業種であることも力説してほしい。
総合的な対策として行政も含めた対策が必要。企業は積極的に企業合同説明会に参加し、大学・学校を訪問しており、弊社は地道な努力をしています。
- 建設業界全体で各学校等に出向き、「魅力ある働きがいのある職場」であることを周知するなど、協会が人材確保の後押しをして欲しいです。「建設業の人材バンク設立運営」を検討願いたい。
- 充分な予算組みと、建設作業員の地位向上、イメージアップを図る。
国策としてもう一度、サービス業ばかりではなく、ものづくりに対する動機付け及び手厚い保護政策が必要。
- 学生の時点では建設業に関わる情報が就職時期になるまで、ほとんどなく就職を考える時の候補に建設業が最初から入っていないのではないか。教育現場への支援や協力の中で子供たちが建設業に接する機会をもっと増やさなければ、子供たちが建設業に興味を持ってくれないと思う。とは云え「何をすれば良いのか。」具体的な対策が無いのがつらい。
- 技術者、技能者の確保は、団塊の世代や高齢化による引退により人材不足が急速化しています。そのような状況において、新卒技術者の確保は大きな課題となっております。また、少子化や大学の建設分野、特に土木系の学部においては定数割れなどの現状にもあります。このような現状において、新規採用・雇用活動は行ってはいますが建設業に就職を希望する人材確保は厳しく、また、新規採用しても中途退職してしまう現状にあります。
- インターンシップ等の利用を図っていますが、なかなか条件等により要望が進行しない状態です。会社の規模・立地条件・地域性も有るとは思いますが、毎年希望は出しています。
【魅力ある職場づくり(職場改善・資格取得関連事項など)】
- 資格取得の学歴格差をなくすことが必要であり、専門課程の卒業者とそれ以外の卒業者の格差を無くす。
- 中小企業は、新卒者募集しても、なかなか応募がありません。
現在、専門学校卒で22年4月に入社者がおりますが、1級土木の講習を受講させ「合格」しました。今後も受験年齢になったら講習を受講させる予定です。
- 新卒者の雇用については、世代交代の必要性から積極的に考えたい。また、資格取得を奨励し今後に備える。
- 協会で新人入職者の研修を実施する。
【社会保険加入促進】
- 現場作業者の社会保険加入等の問題が取りざたされている。将来的な社会保障制度の整備が行なわれれば、建設業従事者の確保も可能ではないか。方針の明確化を望む。
【女性活躍の場の推進(積極採用を含む)、外国人実務実習生の活用】
- 現在、国の方針の一つとして女性の活用が言われています。建設業においても例外ではなく技術資料などで女性の配置
が加点要素の一つとして記載されるようになりました。担い手確保の一つなのでしょが、苦肉の策に思えます。やはり、若い男性が主力となるように他産業との賃金格差の解消や休日の確保をしたうえで建設業の仕事の積極的なPRが必要と思われます。土木について言えば、経験を積めば専門学科卒業ではなくても充分に戦力になっていきます。建設業の仕事内容が不明確だから敬遠される理由の一つであるかもしれませんので、業務内容、将来への見通しなどを十分に説明し現場見学会等を開催し、透明性を上げることで若年層の理解が深まり、建設業の門をたたく人が増える。
- 女性の積極活用を進める。
- 技能労働者については、毎年、「技能実習生」を補充し維持していく。外国人労働者の積極採用。
【指導育成体制、方法】
- 育成については、以前は見て覚えると、職人的な教え方が主流でしたが、若手の気質が細くなっているため、早期離職対策のために丁寧な指導が求められている。
- 今後は指導員(先輩等)を配置し相談できる環境づくりを進めていく。
◆【建設生産システムにおける生産性向上について】 −(抜 粋)−
●総 論
- 単年度発注による工期の偏りの見直しが必要。適正工期の設定や施工時期の平準化は、直轄工事においては、試行され始めていると感じますが、自治体の方では、単年度予算の壁などがあり難しい状況が見受けられます。
- 年度内の工事量の偏りを解消し、年間を通じて施工時等の平準化を図ることが生産性の向上つながる。
- 技術者の効率的な配置の観点から、発注にあたっては、支障物移転・関係機関調整等が済んでからの発注として欲しい。
- 毎年ある程度の仕事量が確保される状況が業者にとっても人員や資材などの計画が立てやすく、生産性向上につながるのではないかと考えています。
- 小中学校の耐震・改修工事では夏休みを利用しての工事なので作業日数を考えると代理人がその期間休みが取れない状況になってしまう。 発注者もそれで当たり前の感覚をもっている。
過労・熱中症等の問題もあり、代替技術者をフォーロー配置しているが非常に厳しい状況である。 また、夏休み期間中は工事が集中するため協力業者(各業種)の確保も難しい。
- 毎年4月〜8月の間は、公共事業が減少するのでその間、職員が余ってしまう。冬場になると足らなくなるとわかっていても社員は増やせない状況。発注も平準化されれば、新入社員も入社させられると思う。
- 公共工事及び補助金を利用する民間工事において、年度末の竣工がほとんどであるが、それぞれの時期において各工種が一時期に重なってくるため、建設コストも上がる上に生産性も慢性的な状況の感がある。国や県主導で工期設定について、抜本的な見直しが必要ではないか。
●具体的提案など
【事務効率・改善】
- 提出書類作成の要否と効率化を検討して欲しい。
【省力化(二次製品化など)】
- 工場製品の活用等により、施工期間の省力化及び効率化が必要。
- 建設現場では、出来るだけプレキャスト製品を使用して作業員の負担を無くすることが必要で作業の機械化も必要。
- 鉄筋工・型枠大工等の減少などにより、使用材料のプレキャスト化は生産性の向上にとって有効な手段である。しかし、現状は受注者が「施工承諾」でプレキャスト化を行っている例が多く、それは施工性、品質面、出来映えを考慮して行っているが、金額面に大きな乖離があればそれも無理となる。よって、設計段階からプレキャスト化を進めてほしい。
- コンクリートの二次製品を大型化し、機械施工の作業化を促進する事によって、人手不足と技術者不足を補う。
【新技術、新工法の活用(IT技術等の活用など)】
- IT等を駆使し、情報化施工の推進、定着を目指し、工期短縮、コスト縮減を図り、週休2日及び給与アップ等の処遇改善に向け、建設業全体で努力していきたい。
- コンピュータを最大限に活用した基礎技術向上のため「計算集(ソフトを自社開発)」を充実させ様々な仕事に活用し、未経験者の底上げを図っています。
- 機械化施工、コンクリート二次製品の使用、多様化が多くなったが、基本的には、人力での施工が必要とされるので、新工法、新技術を取り入れ、作業員の重労働を軽減したいと思う。
- もの作りの生産現場において、情報化施工、二次製品化、CIMなど新技術などの取組みが実施されています。このような新技術の推進は、人材不足の解消と生産性の向上を目的に実施されていますが、新技術の活用等はコストが掛ります。
現状の入札は一般競争の提案事項でもあり生産性の向上効果と導入コストとの費用対効果から判断すると、ある程度の工事規模・工事金額でなければメリットが得られないと思います。
- 情報化施工の推進については技能者不足で進めたいところではありますが、まだ機械の単価(リース)と施工単価とのバランスが悪く、施工者負担額が大きなものとなっています。標準化にするには、価格設定を見直したうえで確定して頂きたいと思います。これが利益の低減にも繋がる事です。
- 情報化施工の採用は、工事規模における課題があると思いますが、いずれ小規模工事でも活用できるものであれば取り入れていきたいし、発注官庁側で進めていただけると有り難い。
- 生産性向上のため、BIM,CIMの導入・活用が推進されているが、業者間の技術対応格差の解消が課題。
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