一般社団法人埼玉県建設業協会

トピックス 2015年10月号

土木・建築系学卒者の就職動向(集計表)

就職動向調査の概要

1 調査対象校(7校8学科)
土木系:いずみ高校、熊谷工業高校、秩父農工科学高校
建築系:浦和工業高校、大宮工業高校、春日部工業高校、川越工業高校、熊谷工業高校
2 調査時期
平成27年4月〜5月
3 アンケート項目
(1)平成27年3月卒業生の就職動向
(2)女性の就職動向
(3)他業種の就職者の内訳
(4)進学者の学校別内訳
(5)県内建設関係就職先企業名
(6)県内建設業への就職者を増やすための方策

アンケート結果を踏まえた考察

①全体では、昨年度に引き続き、県内建設業への就職者の率が他業種の就職者の率を上回った。建築系では、その傾向が顕著で今年度も現場監督や大工・型枠大工・鉄筋工など技能労働者としての採用増などの影響と思われる。しかし、土木系については、平成24年度以前及び昨年度と同様に他業種の就職者が上回っており、今後も動向を注視していく必要がある。

②卒業者に占める女性の割合は、8%と少なく、うち、建設関係に就職したのは、2.7%である。特に、土木系の女性は元々4名と少ないが、建設業に就職した女性は一人もいなかった。官民共同で策定した「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」に掲げる女性技術者・技能者を平成31年までに倍増するためにも、女性の入職を促進する方策を講じていく必要がある。

③他業種への就職者の内訳では、製造業の率が最も高く、2番目が電気・ガス・熱供給・水道業、3番目がサービス業となっている。特に、土木系では、製造業の率が著しく高くなっている。ちなみに、労働力調査の産業別就業者数(平成25年調査)では、製造業は第3位である。

④就職者の内家業が建設業の者(親が建設業の経営者又は従事者)の割合は、土木系では、1.6%、建築系では、6.9%と昨年度に引き続き、労働力調査の産業別就業者数(平成25年調査)の7.9%より低い結果であった。家業が建設業の子供は、建設業を敬遠する傾向があるのか、それとも進学する確率が高いのかなどについては、この調査からでは定かではないが、家業と職業の選択とは、因果関係が少ないのではないかと思われる。

⑤進学者の学校別内訳では、昨年度に引き続き土木系は専門学校へ、建築系は四年制大学への進学者の率が高くなっている。建築系では、「設計監理の仕事を希望しても、高校卒では採用されない現実がある」との意見を聞くが、そうした状況を踏まえ、より高度な知識や資格取得のために四年制大学を選択する者が多いのではないか。なお、土木系・建築系とも短期大学への進学者は、一人もいなかった。

⑥進学者の内建設系に進んだ者は、土木系では、41%と昨年度よりも16%多くなっている。建築系では、昨年度とほぼ同じ71%であった。建築系では、4で述べたように「設計監理の仕事」と言うように建設系の明確な職業の目標を持って進学する者が、土木系よりも多いのではないかと思われる。

⑦建設業への就職者を増やすためには、「週休二日制の実施や賃金を増やすなどの労働条件の改善」が必要との意見が今年度もあった。引き続き適正な工期設定や予定価格について発注機関に要望していくとともに、労働条件の改善に行政と一体となって取り組んでいく必要がある。

⑧昨年度から実施している現場見学会については、継続実施の要望とともに、スケール感の感じられる現場見学会を希望する声があった。見学候補地の選定にあたっては、考慮していく必要がある。

県内建設業への就職者を増やす方策

○現地見学等の実施。

○各種資格取得の補助。

○労働条件の改善が必要かと思う。
 ①休みが少ないが、高収入
 ②収入は人並みかそれ以下だが、完全週休二日制
 現生徒は小学校より完全週休二日制で育っているため、休みがあるのが当たり前の環境である。休みが日・祭日のみの建設業に理解が難しいので、業界として①を積極的にPRし、②の選択もできる職場環境への改善に取り組んで欲しい。

○新人研修プログラムを充実させ、離職者を少なくする対策を願いたい。

○生徒たちの「土木」のイメージは、「路上でスコップを持ってプレートでパタパタ」といった感じである。従って、スケール感の感じられる現場見学会を実施して頂けると「土木」及び「建設会社」のイメージアップにつながると思う。

○生徒も保護者もオリンピック景気のお陰で、一時より建設業に対する関心が上向き傾向にあると思う。

○建設関連の業種へ就職希望を出す生徒はおりますが、収入や待遇面、今後の会社の存続等不安材料があり選択肢から除外する傾向が伺える。しかしながら、比較的安定した職種を目指す者が多く、現場職(大工等)でも中堅企業の希望が多数ある。

○小規模の工務店は縁故でしか就職できないところが多く、高校生向けの求人票(職安を通したもの)が出せないところが多いと見受ける。大工希望は少なくはないので、工務店等においても求人票を出してもらえるよう働きかけて頂きたいと思う。

○県内建設業関連の求人票が冊子になっていると活用しやすい。
 (昨年度1000社以上求人をいただいたが、1社1社バラバラでは、生徒の目に届かない事が多い)

○建設業協会にて、各学校の取り組みについてプレゼンをやらせて欲しい。

○高校生を必要としている企業から欲しい生徒の要望(例 部活、性格、出欠席、成績等)を聞ける場が欲しい。

○寮を必要としている学生が増えている。

○最近の子供は、ハングリーさにかけ、ちょっときつくすると潰れてしまう。すぐ泣く子もいれば、すぐやめてしまう子もいる。長い目で育てていっていただきたい。

○高卒入社者が早期退職(入社1年未満くらい)する理由を知りたい。高校側でも対応できる部分は対応していきたい。

平成27年3月の就職動向 卒業者数は、全体で336人と昨年度の330人とほぼ同数である。
系列 高校名 学科名 卒業年月 卒業者数 就職者数 (建設関係県内) (建設関係県外) (他業種) 進学者数 その他


いずみ高校 環境建設科 平成27年3月 20 16 3 9 4 3 1
熊谷工業高校 土木科 平成27年3月 37 23 13 2 8 14 0
秩父農工科学高校 森林科学科 平成27年3月 37 22 4 0 18 15 0
土木系小計 平成27年3月 94 61 20 11 30 32 1


浦和工業高校 設備システム科 平成27年3月 29 25 2 1 22 3 1
大宮工業高校 建築科 平成27年3月 60 30 18 4 8 27 3
春日部工業高校 建築科 平成27年3月 76 51 30 15 6 24 1
川越工業高校 建築科 平成27年3月 39 24 14 3 7 14 1
熊谷工業高校 建築科 平成27年3月 38 28 15 0 13 10 0
建築系小計 平成27年3月 242 158 79 23 56 78 6
全体合計 平成27年3月 336 219 99 34 86 110 7
土木・建築系就職動向

昨年度に引き続き、県内建設関係の就職者の率が、他業種の就職者の率を上回った。

土木系就職動向

昨年度に引き続き、県内建設関係の就職者の率が、他業種の就職者の率を下回った。

建築系就職動向

昨年度程ではないが、県内建設関係の就職者の率が、他業種の率を9%上回った。

平成27年3月の女性の就職動向

系列 高校名 学科名 卒業年月 卒業者数 就職者数 (建設関係県内) (建設関係県外) (他業種) 進学者数 その他


いずみ高校 環境建設科 平成27年3月 4 3 0 0 3 1 0
熊谷工業高校 土木科 平成27年3月 0 0 0 0 0 0 0
秩父農工科学高校 森林科学科 平成27年3月 0 0 0 0 0 0 0
土木系小計 平成27年3月 4 3 0 0 3 1 0


浦和工業高校 設備システム科 平成27年3月 1 0 0 0 0 0 1
大宮工業高校 建築科 平成27年3月 6 5 1 0 4 0 1
春日部工業高校 建築科 平成27年3月 8 4 2 2 0 4 0
川越工業高校 建築科 平成27年3月 7 4 2 1 1 3 0
熊谷工業高校 建築科 平成27年3月 1 1 1 0 0 0 0
建築系小計 平成27年3月 23 14 6 3 5 7 2
全体合計 平成27年3月 27 17 6 3 8 8 2
女性の就職動向・全体

全体としては、建設関係、他業種、進学者の率が同程度である。他業種の就職者の率が、県内建設関係の就職者の率を上回った。

女性の就職動向・土木系

建設関係の就職者は一人もいなかった。他業種の就職者の率が75%。進学者の率が25%である。

女性の就職動向・建築系

県内建設関係の就職者の率が、他業種の率を10%上回った。建設関係が45%と半数近くになっている。

建設系大学等への進学者 土木系では、専門学校進学者の方が建設系への進学率が高く、建築系では、四年制大学進学者の方が、建設系への進学率が高くなっている。
系列 高校名 学科名 卒業年月 進学者数 (建設系全体) (四年制大学) (建設系) (短期大学) (建設系) (専門学校) (建設系)


いずみ高校 環境建設科 平成27年3月 3 2 0 0 0 0 3 2
熊谷工業高校 土木科 平成27年3月 14 8 4 3 0 0 10 5
秩父農工科学高校 森林科学科 平成27年3月 15 3 2 1 0 0 13 2
土木系小計 平成27年3月 32 13 6 4 0 0 26 9


浦和工業高校 設備システム科 平成27年3月 3 0 2 0 0 0 1 0
大宮工業高校 建築科 平成27年3月 27 20 20 17 0 0 7 3
春日部工業高校 建築科 平成27年3月 24 18 11 8 0 0 13 10
川越工業高校 建築科 平成27年3月 14 9 3 3 0 0 11 6
熊谷工業高校 建築科 平成27年3月 10 8 9 7 0 0 1 1
建築系小計 平成27年3月 78 55 45 35 0 0 33 20
全体合計 平成27年3月 110 68 51 39 0 0 59 29
建設系進学者・全体

全体では、進学者の62%が建設系へ進んでおり、昨年度より若干多くなっている。

建設系進学者・土木系

土木系の進学者の内、建設系へ進んだのは41%であり、昨年度よりも16%多くなっている。

建設系進学者・建築系

建築系の進学者の内、71%が建設系へ進んでおり、昨年度とほぼ同じ結果であった。

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