昨年の経済は、消費増税に伴う駆け込み需要とその反動減の影響が当初の想定以上に大きく、景気が足踏み状態となった。こうしたなかで、当研究所は2014年11月に県内企業573社を対象に設備投資動向調査を実施したところ、回答企業240社(回答率41.9%)のうち、2014年度に設備投資を「実施、または予定している」企業割合が全体の70%と、2000年度以降のピークにあたるリーマン・ショック直前の2007年度の67%を超えた。リーマン・ショック後の2009年度には52%まで落ち込んだが、その後は増加基調で推移している。中期的なスパンにおいては企業の投資姿勢の前向きさが把握できるものとなった。
業種別では製造業が72%、非製造業は68%で、企業規模別では従業員100人以上の企業で85%、100人未満では55%と約半数にとどまり、従業員100人以上の規模の大きな企業で、製造業を中心に投資意欲の改善が見られる。設備投資に踏み切る理由としては、製造業・非製造業ともに、「設備の維持・更新」が7割と圧倒的に多いほか、人手不足を背景に「合理化」を挙げる企業も増えてきた。
設備投資を「実施、または予定している」企業に対し投資見込額を聞いたところ、154社の回答が得られ、合計金額は、808億円余となった。2013年度実績額の約727億円に比べ、11.3%増となり、調査ごとの回答企業が異なるため、単純には比較できないが、リーマン・ショック前の2007年度調査実績の約807億円とほぼ同水準が見込まれている。設備投資を実施、または予定している企業割合だけでなく、投資見込み額でも改善がみられた。製造業は約277億円で前年度比1.1%増と、化学や輸送用機械などで能力増強投資が計画されている。また、非製造業では約532億円で同17.4%と大幅に増加、小売やサービス業での店舗新設・改装の大型投資が投資額を押し上げている。
2014年度の設備投資意欲が2015年度も続くのかが気になるところだが、調査段階での「実施予定あり」との回答は36%で、50%と半数の企業が「未定」と回答。消費増税後の景気動向を慎重に見極めて投資判断する姿勢がうかがわれる。また、「実施予定あり」と回答した企業から、投資見込み額の増減を聞いた結果では、「増加見込み」企業は全産業で16%、「減少」見込みも16%となっている。
本年の経済については、消費税率再引き上げ見送りに加え、円安・株高・原油安の恩恵により景気が押し上げられることを想定している。設備投資の規模が4月以降、新年度に入ってから増額修正されることを期待したい。
(ぶぎん地域経済研究所)