埼玉県内企業の業況感は回復している。当社では、埼玉県内企業へ3か月ごとに企業経営に関するアンケート調査を実施している。今年2月の調査では、2014年1〜3月期の業況判断BSIは0となっている。この業況判断BSIとは、各企業に自社の業況について「良い」、「普通」、「悪い」の3択から1つを選んで回答をいただき、「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を引いた数値で示したものである。2007 年7〜9 月期の業況判断BSIはプラス4であったが、その後はマイナスが続き、ようやく6 年半ぶりにマイナスから脱している。業種別では、製造業は−3とまだプラスに浮上していないが、非製造業は、2013年7〜9月期にはプラスに転じ、2014年1〜3月期も4と3期連続してプラスとなっている。製造業は、内需の底堅さを背景に素材型業種の紙加工品等や金属製品などで業況が改善しているほか、消費増税前の駆け込み需要から飲・食料品、非製造業の小売がプラスに転じている。しかしながら、4〜6月期の業況判断BSIはマイナス17と17㌽低下、急激に落ち込む。先行きについては消費増税後の駆け込み需要の反動減から業況を慎重にみる企業が増えている。
埼玉県内の建設業については、業況判断BSIは2007 年7〜9月期からマイナス圏で長らく推移していたが、2013年の10〜12 月期に22とプラスに転じ、2014 年1〜3 月期もほぼ横ばいの21と業況は回復している。アベノミクス「第二の矢」である機動的な財政政策に伴う公共工事の増加により、売上高BSI(「増加」と回答した企業の割合から「減少」と回答した企業の割合を引いた数値)が47と高く、これが建設業の業況感を良くしている。もっとも、経常利益BSI(「増加」−「減少」)は11にとどまり、売上高BSIの47に比べプラス幅が小さい。資材価格の上昇に加え、人手不足により人件費が上昇しているため、売上が増えている程には利益をあげられないのかもしれない。
先行き4〜6月期の建設業の業況判断BSIは11とプラス幅が縮小する見通しとなっている。売上高BSIが11とプラス幅が大きく縮小、経常利益BSIがマイナス6に転じるため、先行きの業況が後退している。公共工事を押し上げてきた政府の機動的な財政政策の効果が一時的に弱まることを予想しているようだ。
しかしながら、2013年度補正予算と2014年度の当初予算が本格的に執行されれば、公共工事が再び増勢に転じると予想される。建設経済研究所の建設見通しによると、全国では2013年度の建設投資を前年度比12.7%増の49兆4,500億円と予測している。また、2014年度は前年度比1.1%減と減少するものの、48兆9,200億円と50兆円に近い高水準の投資額を予測している。埼玉県内の建設業の業況は夏場には改善に向かうことが期待される。