早いもので、今年も残り1ヵ月を切った。師走の忙しい中、景気が回復してきているとはいえ、資金繰りに追われている県内企業の経営者も少なくないだろう。一方で、アベノミクス効果から、企業業績の良い業種もあり、震災の復興需要や公共事業の堅調さに支えられている建設業界も、その部類に入るのかもしれない。資金繰りにあくせくせず、久しぶりに心休まる大晦日を迎えられる建設業者は多いものと期待している。この月、事業資金の手当てとは別に気に掛かるのが、社員への賞与だろう。業績も良いことだから、今まで苦労掛けた社員に、今年はちょっと多めにと、昨年より金額を増やした企業も多いもと見受けられる。
当研究所の冬季ボーナス支給予定調査でも、その明るさは見られ、昨冬に比べて支給額を増やす企業が増加し、支給金額も増額傾向にあった。有効回答企業214社(回答率37.3%)の支給方針によると、「昨冬より増加」との回答が19%で、前年調査に比べ5㌽増加し、「昨冬より減少」は8%で、同11㌽も減っている。ただ、「昨冬とほぼ変わらず」との回答が前年調査と同じ51%を占め、調査時点で「支給方針未定」の企業が12%、「支給しない」との回答が10%あり、支給方針は企業業績によって少しバラツキがあるようだ。
支給を予定している回答企業の一人当たり平均支給予定額を算出したところ、全産業の平均額(従業員数に加重平均)は44万1,502円で、昨冬の支給額に比べて1万3,736円、3.2%増加している。これを業種別でみると、製造業の平均支給予定額は40万1,160円(昨冬比1.0%増)、非製造業は47万4,546円(同4.8%増)で、非製造業の支給予定額の方が高かった。政府の金融・経済対策であるアベノミクス効果が小売りや卸売り、建設といった業種で表れているようで、非製造業全体の平均額を押し上げている。
特に、建設での支給額は大幅に増加する見通しで、1人当たりの平均支給予定額は、昨冬の支給額に比べ8.5%増の36万8,794円だった。非製造業平均よりは下回っているが、増加率では全業種の中で最も高く、ここ最近の建設需要の好調さがボーナス支給に明るさをもたらしているようだ。同じ建設業界の住宅建設はさらに明るく、一人当たりの平均支給額は42万6,346円に上っている。ただ、昨冬の支給額からは1,500円ほど下回る見込みだ。
なお、一人当たりの平均支給予定額は、企業規模の大小で違いがみられ、従業員100人以上の企業では46万9,671円、100人未満の企業では31万3,089円と、約15万7,000円の開きがあった。アベノミクス効果は、業種や企業規模によって差があるようで、今冬もまた人によっては、泣き笑いが出てしまうのかもしれない。(ぶぎん地域経済研究所)