当研究所では、四半期ごとに県内企業を対象にした「主要産業動向調査」、いわゆる「産業天気図」を公表しているが、このほど2013年1−3月期の天候が判明した。この産業天気図は、各業界の景況感を見る上でも重要な指標の一つで、建設業者にとって大まかに把握しておきたい動向だ。各建設業者が受注を期待する各業界の天候を知ることで、先々の受注活動を事前に予測することも可能で、その参考の一助としていただきたい。
この産業天気図によると、製造業と非製造業合わせた18業種についての天候は、業績好調を示す「晴れ」や「晴れ一部曇り」のマークは、今回調査でも見られず、「曇り」が5業種、「曇り一部雨」が8業種、「雨」が5業種となっている。前回調査の2012年10−12月期に比べると、「曇り」が1業種減り、「雨」が1業種増え、わずかながら全体の天候は悪化した。
前回調査から天候に変化のあった業種を個別に抽出すると、まず製造業では悪化している業種が多い。化学・プラスチック・ゴム製品の業種では、取引先の海外シフトなどの影響がみられ、売上高が落ち込むなど業況が後退していることで、前回の「曇り一部雨」から本降りの「雨」に。同様に一般機械器具も内外経済の不透明感を反映して、設備投資の抑制が続き受注量が減少するなど、ワンランク悪化の「雨」になった。電子部品・デバイスと輸送用機械も「曇り一部雨」からの悪化組で、取引先の海外移転や日中関係の冷え込み、長期にわたった円高の影響を残していることで、1−3月期は「雨」模様となっている。
一方で、天気が改善したのが鉄鋼・非鉄金属と、精密機械の業種で、「雨」から「曇り一部雨」へと持ち直した。鉄鋼・非鉄金属は、一部で日中関係や原材料価格の上昇影響がみられるが、総じて外需が増加したため売上高や収益が改善。精密機械も医療機器関連などで円高の修正があったことで、業況は持ち直している。
非製造業で前回調査から天気マークに変更がったのが一般建設と小売りの業種。建設業者を含む一般建設は、業界環境が厳しいながらも太陽光発電設備関連や、耐震化工事などの需要が売上高の改善に結びつき、前回の「雨」から「曇り一部雨」へと好転した。小売は、自動車販売でのエコカーが堅調で、百貨店や量販店でも衣料品をはじめ、例年にない寒波の影響で、防寒用品が売れるなど業況が持ち直している。
国内経済は昨秋以降、“アベノミクス”効果で、景況感が変化しているが、1−3月期の主要産業動向調査を見る限り、県内経済への好影響はまだ顕在化していないようだ。しかし、先行き4−6月期には少し遅れて回復の兆しが出てくる模様で、全業種での天気の回復が見込まれる。(ぶぎん地域経済研究所)