受注環境の改善を中心に、県担当部署との意見交換会が11月29日午後2時から、別所沼会館で開催された。県側からは、県土整備部、総務部契約局の幹部ら11人が、当協会からは正副会長、支部長、建築委員長、青経部会長ら20人が出席のもと、当協会側から提出された5テーマを中心に意見を交わした。
冒頭、挨拶に立った真下会長は、会員を対象に実施した経営アンケート調査結果を踏まえ、「前年に比べ完工高▲17.6%、工事粗利▲18.1%、利益率横ばい、一般管理費▲17.6%、工事利益▲21.7%など、総じて悪化を示す厳しい状況が示されており、かろうじて経営の維持継続をしている状況が浮き彫りとなっている。本日は、各支部から提出のあった当面の課題・要望についてを議題に、率直な意見交換を行い、官民相互理解を深める有益な機会とさせていただきたい」と述べた。
これに対し岩ア・県土整備部長が、「地域における建設産業の役割は益々大きくなっている反面、経営環境が厳しくなっているのが実情だ。本日伺ったご意見などは今後のより良い公共調達に向け活かしていきたい」とあいさつ、忌憚のない意見を求めた。
当協会からの要望は、(1)公共事業予算の見通し(2)県内企業の受注機会の配慮(3)入札契約制度について(4)総合評価方式について(5)その他―の5項目(詳細は別掲)。
この内、公共事業編成方針については、「維持・管理100%、新設85%を基本とし、選択、集中により効率の良い事業執行に努める」とする一方、(1)一抜け方式の活用(2)地域要件設定の工夫(3)一千万円未満の工事については、さらに地域優先度を設定するなどの改善を進め、県内企業への発注目標70%(金額ベース)を確保していく考えを示した。
また、最低制限価格・調査基準価格を予定価格の90%以上とすることや、失格基準価格の引き上げを強く求めたのに対し、「前回の改正以後、平均落札率が2〜3%上昇している。さらに、低入札価格受注も4分の1以下にまで減少していることから、しばらく推移を注視していく」とし、見送りとなった。
総合評価においては、災害対応実績の加点ウエイトを高めることや類似実績の緩和などを求めたが、「重機保有を加点対象とすることは検討しているが、それ以外で加点する必要なし」とする反面、「落札者決定までの期間短縮については前向きに検討、配置技術者の評価についても現場技術者の複数登録を検討する」などの進展が伺えた。
その他の項目では、県として工夫努力している点が説明されるとともに、現場の状況把握が不十分である点については、周知徹底を図るとした。
埼玉県建設産業構造改善推進協議会(会長・岩ア康夫県土整備部長)は当協会との共催により、12月3日午後1時30分から、建産連会館特別会議室において「彩の国建設産業構造改善推進セミナー」を開催、会員企業ら22人が参加した。
講師は、建設経営サービスの太田健爾・ファクタリング事業部長が担当、「元金融マンが教える 金融円滑化法終了後の対応について」をテーマに講演をいただいた。
太田講師は、「建設企業にとって金融機関との付き合いは切っても切れない。その金融機関は大きな環境変化に直面、特に注目すべきは、中小企業の資金繰り緩和策として2009年12月に施行され、2013年3月までの再延長が決定した「中小企業金融円滑化法」の影響である。これにより、金融機関側の企業に対する取引姿勢の変化が今後想定される。 この変化に適切に対応するためには、まず金融機関の最近の動向を把握して、ポイントを押さえた対処が不可欠」とし、(1)最近の金融機関の動向(2)あなたの会社はここを見られている(3)企業格付けと債務者区分(4)支店長・融資課長との付き合い方(5)新たな資金調達手段の検討(6)銀行取引チェックリストなどについて解説した。
講演終了後、県産業労働部金融課職員による「中小企業制度融資と中小企業支援ネットワーク」についての説明が行われた。
平成24年度若年建設従事者入職促進協議会並びに建設雇用改善推進委員会(労働委員会)が12月19日午後1時30分から協会役員室で開催され、社会保険未加入対策の促進に向けた取り組みについて関東地方整備局の赤羽・建設産業第一課長から説明を受けるとともに、これらを巡り意見交換を行った。
会議には、埼玉県からは小林建設管理課主幹、中村高校教育指導課指導主事が出席したほか、業界側からは島田労働担当副会長、中村労働委員長、忽滑谷同副委員長、島村土木委員長、斎藤建築委員長、猪股労働委員、深井労働委員、宮下労働委員、川澄労働委員、永野労働委員代理、水戸労働委員代理、嶋村労働委員代理ら、14名が出席した。
会議に先立ち雇用改善推進委員会の島田委員長が、「当協議会としても若者の入職促進のための事業を展開しているが、厳しい経営環境を反映し、技能者の高齢化とともに若者の仕事離れが進んでいるのが実情。この状況を改善し、将来魅力ある働きがいのある産業への転換を果たすためにはどのような施策が必要なのか、委員の皆様のご意見を伺いたい」と挨拶。中村労働委員長も「東北大震災以降、建設業が改めて見直されつつあるが、それ以前のイメージダウンが大きく魅力のない産業となってしまった。このような状況から脱却するため実のある会議としたい」と挨拶した。
【議 題】
平成24年度事業実施報告について
平成25年度事業計画について
事務局より一括説明、特に異議なく原案どおり承認された。
講演・社会保険未加入問題について
関東地方整備局の赤羽建設産業第一課長から、問題となった経緯について説明するとともに、今後5年間で取り組む対策について講演をいただいた。
協議会、委員会とも「対策の促進に協力する」考えを示すとともに、意見交換の中では「官民合わせた建設業のイメージアップが必要」「雇用環境の改善が前提だ」「今はダメかもしれないが、将来に希望が持てる産業に必ずなると信じている」など様々な意見が出された。
◎平成24年度 工事受注状況一覧(大規模案件:埼玉県入札執行課案件)
(参考資料)
平成24年11月16日現在
工事種別 | 件数 | 一般競争 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
件数 | (%) | 平均最低制限価格率(%) | 予定価格超過件数↑ | 失格件数↓ | ||
全工種 | 64 | 25 | 39% | 85.7 | 14 | 15 |
土木工事 | 11 | 2 | 18% | 86.3 | 0 | 2 |
建築工事 | 33 | 15 | 45% | 88.2 | 12 | 11 |
電気・設備工事 | 20 | 8 | 40% | 80.8 | 2 | 2 |
工事種別 | 総合評価 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
件数 | (%) | 平均調査基準価格率(%) | 平均失格基準価格率(%) | 予定価格超過件数↑ | ①価格失格↓ | ②数値失格↓ | ③調査失格 | |
全工種 | 39 | 61% | 86.9 | 71.1 | 24 | 3 | 1 | 6 |
土木工事 | 9 | 82% | 86.7 | 71.1 | 1 | 0 | 0 | 4 |
建築工事 | 18 | 55% | 88.0 | 71.1 | 14 | 0 | 0 | 1 |
電気・設備工事 | 12 | 60% | 85.4 | 71.0 | 9 | 3 | 1 | 1 |
工事種別 | 平均落札率(%) | 平均応札者数・1工事当 | 備 考 |
---|---|---|---|
全工種 | 88.8 | 11.7 | |
土木工事 | 84.5 | 8.7 | |
建築工事 | 90.8 | 15.4 | 見積提案型2件 |
電気・設備工事 | 87.9 | 7.4 | 見積提案型2件 |
○ 考 察
※最低制限価格、調査基準価格の更なる引き上げが必要。
合わせて、失格基準価格も引き上げ、各契約方式での「失格」判断基準の均一化を図ることが必要と思われる。
学 校 名 | 人 数 | 実 施 日 時 |
---|---|---|
埼玉県立川越工業高等学校 建築科 2年生 | 39名 | 平成24年9月20日(木) 1〜3時限 |
埼玉県立熊谷工業高等学校 建築科 1年生 | 41名 | 平成24年10月18日(木) 2〜4時限 |
埼玉県立いずみ高等学校 環境建設科 2年生 | 33名 | 平成24年11月27日(火) 5〜6時限 |
埼玉県立熊谷工業高等学校 土木科 2年生 | 27名 | 平成24年11月29日(木) 5〜6時限 |
埼玉県立大宮工業高等学校 建築科 2年生 | 59名 | 平成25年 1月開催 |
埼玉県立春日部工業高等学校 建築科 2年生 | 77名 | 平成25年 2月開催 |
埼玉県立秩父農工科学高等学校 森林科学科 2年生 | 40名 | 平成25年 2月開催 |
埼玉県立浦和工業高等学校 設備システム科 1年生 | 40名 | 平成25年 2月開催 |