一般社団法人埼玉県建設業協会

経済一口メモ 2013年1月号

2013年度の県内経済、1.3%のプラス成長と予測
「強弱併せ持つ年度に」

 年頭に当たり謹んで、新年のご挨拶を申し上げます。本年もまた、経済見通しについて、当研究所の分析結果を摘記させて頂きますが、2013年度の県内経済は一言で言って、強弱併せ持つ年度になると予測しました。年度前半は弱いながらも成長し、後半は消費税率引き上げ前の駆け込み需要によって、成長率が強まるとの見通しからです。
 2012年度は、震災復興需要やエコカー補助金などの政策効果が発揮され、夏場過ぎまでは堅調に推移していました。しかし秋口になると、沖縄県尖閣諸島を巡る日中関係の悪化から、国内の輸出や鉱工業生産が減少して、県内経済にもその影響が波及。残り3か月となった現在なお、国内経済の弱含み状況とともに、県内の経済活動は弱い動きが続いています。
 その結果、昨年7月の見直しで、2012年度の県内経済成長率は、当初予測の2.0%成長から2.1%に上方修正しました。しかし、昨年末に2回目の修正見直しを行った結果、逆に0.9%に下方修正しています。と言うのは、想定外だった日中関係の悪化による輸出の落ち込みが激しく、県内経済にも大きく影響したことが1%以上の下方修正に至った要因です。一方、国内経済も2012年度の成長率は0.8%と、前回(昨年7月)修正予測の2.3%から大幅に下方修正しました。大きな要因は日中関係に加えて、海外経済の回復遅れが輸出や生産活動を減少させたことです。
 2013年度に入っても、こうした弱い動きは当分の間続くものとみられますが、年度を通した県内の成長率は1.3%のプラス成長と予測しました。その背景としては、まず海外経済の回復に伴って、輸出が持ち直しに転じるものと判断。悪化していた国内の生産活動が底打ちするのと並行して、県内の輸出産業向け製造業も息を吹き返す、と見通したからです。
 生産活動の持ち直しに比例して、設備投資も徐々に回復すると予想しました。特に、県内のインターチェンジ周辺での工場建設や、物流施設の建設投資が期待できるところで、全体の設備投資を支える材料となるでしょう。住宅投資も年度を通して活発化するものとみられ、春先から消費税率引き上げ前の駆け込み需要が徐々に顕在化し、秋口には戸建て住宅や、マンション建設がピークを迎えるものと思われます。
 こうした住宅投資は、県内総生産の約7割を占める個人消費に大きく影響しますが、その個人消費は前述した通りの駆け込み需要で、自動車をはじめ家電や家具といった耐久財、さらには衣類や履物などの半耐久財の購入などで底堅く推移するでしょう。ただ、自動車は既にエコカー補助金などで需要が先食いされているため、個人消費をさらに底上げさせるまでには至りません。
 県内経済は、以上の背景から1%台前半のプラス成長と予測しています。最後に、国内経済の見通しですが、2013年度は日中関係の改善も期待され、生産や企業収益の持ち直しが見込まれることから、1.2%のプラス成長と予測しました。経済予測では想定外のファクターで、大きくブレルことがままありますが、少なくとも今年1年は、日本経済を大きく悪化させるような出来事がないことを祈りたいものです。(ぶぎん地域経済研究所)

埼玉県内の経済成長率

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