建設投資の急激かつ大幅な減少により競争の激化など、かつてない厳しい状況に直面している状況下にあって、会員企業が事業を営む上での経営課題や経営戦略、公共調達、新分野進出などに関して調査することで、改善要望の基礎資料として活用することを目的に、当協会では「経営に関するアンケート調査」を実施しました。
対象はすべての会員企業425社で、実施時期は6月22日(金)〜7月6日(金)。
回答数は82社(回答率約20%)で、県南部地域25%、県西部地域27%、県北部地域24%、県東部地域24%と県内均一な提出状況となっております。
土木、建築ともマルA、A、Bクラスが8割以上を占め、23年度完成工事高は10億円以上が32%、5〜10億円未満が21%、3〜5億円未満が14%、1〜3億円未満が28%、1億円未満が5%となっております。このうち官民比率は、官庁(公共)関係が60%、民間関係が40%という結果になりました。
この中で低入札価格競争を反映してか、「赤字工事がほとんどで、経営は横ばいか悪い」と答える企業が目立ち、改めて厳しい経営実態が浮き彫りとなった。
経営環境について(現状と課題)
結 果:【経営状況は、「横ばい」若しくは「悪い」】
完成工事高 | 1,623(百万円) |
工事原価 | 1,469(百万円) |
工事粗利 | 154(百万円) |
同利益率(%) | 9,5(%) |
一般管理費 | 136(百万円) |
工事利益 | 18(百万円) |
考 察:【完成工事高減少に伴い、工事粗利も減少するが、粗利利益率は、横ばい。しかし、最終的な工事利益は、下降気味。】
【ボーナスは、苦心しながら約7割で支給】
経営上 | 1. 受注高減少による経営状況 | 【28社:34%】 |
2. 受注競争激化による収益低下 | 【51社:61%】 | |
技術上 | 1. 技術力継承の不安 | 【26社:33%】 |
2. 災害防止活動等の地域協力 | 【 7社: 9%】 | |
3. 技術社員の継続雇用関係 | 【42社:54%】 |
考 察:【公共工事受注減少、激化のなか、社員の継続雇用をなんとか維持しようと、経営を工夫し、乗り切ろうとしている。】
1. 建設業本体での企業体質の強化 | 【55社:68%】 |
2. 合併や協同事業化などの企業連携 | 【 0社: 0%】 |
3. 新分野進出、経営の多角化 | 【20社:25%】 |
4. 異業種への完全な事業転換 | 【 0社: 0%】 |
5. 廃業、事業譲渡など事業撤退 | 【 0社: 0%】 |
6. 特に明確な経営戦略は持っていない | 【 5社: 6%】 |
結 果:【建設業本体の強化とともに新分野への進出、経営の多角化も行っている状況。】
1. 経費の節減 | 【66社:21%】 |
2. 人員の削減 | 【17社: 6%】 |
3. 流動資産等の処理 | 【 8社: 3%】 |
4. 下請けとの関係見直し | 【19社: 6%】 |
5. 資材等取引先との関係見直し | 【25社: 8%】 |
6. 得意分野への専門 | 【16社: 5%】 |
7. 新技術・新工法の開発、導入PR | 【 7社: 2%】 |
8. 新分野進出、経営の多角化 | 【17社: 6%】 |
9 .合併や協同事業化などの企業連携 | 【 1社: 1%】 |
10. 事業の一部買収、譲渡など | 【 0社: 0%】 |
11. 異業種への完全な事業転換 | 【 0社: 0%】 |
12. 民間需要の開拓 | 【35社:11%】 |
13. 経営、経済等情報収集、分析の強化 | 【16社: 5%】 |
14. 社員の経営能力の向上 | 【28社: 9%】 |
15. 社員の資格取得促進 | 【37社:12%】 |
16. 高度な人材採用 | 【13社: 4%】 |
17. 特に取り組んでいない | 【 0社: 0%】 |
考 察:【経費節減、人員削減を意識し、合わせて工事原価(材料費、下請)の見直しも行っている。そして、経営的には、民間需要での新分野開拓を行っている。】
考 察:【本格的な施設整備事業は減少していることから、地域の建設業は、安全・安心のための既存公共施設の維持管理と合わせて災害時対応等での役割を担っており、その献身的な活動をもっと社会にPRすべきと考えている。】
3.公共調達について
結 果:【低入札価格競争のため、赤字工事がほとんど】
(理由: 低入札価格競争の激化 )
会社全体対応策 | 1. コストダウンを通じた経営体質強化 | 【63社:74%】 |
2. リストラによる経営体質強化 | 【 4社: 5%】 | |
3. マンパワーの有効活用 | 【16社:19%】 | |
現場対応策 | 1. 一般管理費等の削減 | 【48社:57%】 |
2. 現場管理費の削減 | 【30社:36%】 |
考 察:【低入札受注競争は、会社の維持など、止むに止まれずの状況がうかがえ、その対策として半数が「最低制限価格の更なる引き上げ」を期待している】
1. 建設機械の所有 | 【27社:16%】 |
2. 専門オペレーターの確保 | 【18社:11%】 |
3. 作業員の確保 | 【41社:25%】 |
4. 機械経費、作業単価の課題 | 【25社:15%】 |
5. 一般競争入札方法(契約手法)の課題 | 【 8社: 5%】 |
6. 発注規模(件数)の問題 | 【 4社: 2%】 |
7. 災害対応活動後の評価不足 | 【25社:15%】 |
8. 災害活動の社会的PR不足 | 【18社:11%】 |
9. その他 | 【 0社: 0%】 |
考 察:【地域防災活動は、早期に検討を開始し、1〜2年後には、実効策を打つ必要がある。】
4.企業再編、新分野・異業種参入等について
会社全体対応策 | 1. 住宅リフォーム分野 | 【13社:26%】 |
2. 環境、リサイクル関係分野 | 【 8社:16%】 | |
3. 農業(園芸花卉)関連分野 | 【 3社: 6%】 | |
4. 林業関連分野(林材加工も含む) | 【 1社: 2%】 | |
5. 宅地建物、不動産業分野(賃貸も含む) | 【13社:26%】 | |
6. 運送業(旅客輸送も含む) | 【 1社: 2%】 | |
7. 健康、福祉関連分野 | 【 2社: 4%】 | |
8. 観光文化レジャー、サービス業 | 【 2社: 4%】 | |
9. 建設関連分野(資材販売など) | 【6社:12%】 | |
10. その他 | 【 1社: 2%】 | |
課 題 | 1. 市場開拓 | 【14社:19%】 |
2. 人材育成、確保 | 【21社:28%】 | |
3. 資金調達 | 【12社:16%】 | |
4. 商品、サービスの等の企画開発 | 【 6社: 8%】 | |
5. 事業計画の策定 | 【 6社: 8%】 | |
6. 関連情報の入手 | 【 5社: 7%】 | |
7. 進出業界との関係 | 【 8社:11%】 | |
8. 会社内の合意形成 | 【 2社: 2%】 |
考 察:【企業再編は考えていないが、既に、相当数が新分野に参入し、経営上工夫、苦心している状況である。】
考 察:【海外展開は、ほとんど考えていないが、海外市場の情報は欲しがっている。】
考 察:【多くの会社は、復興JVに参加意志がないが、条件によっては考える会社も多い。
よって、情報とともに参加制限の緩和が望まれている。】
【入札契約方法:市町村関係】
【設計内容の確実性】
【技術の継承】