一般社団法人埼玉県建設業協会

トピックス 2015年11月号

雇用管理改善啓発セミナー開く
雇用管理アドバイザーによる相談支援も実施

 労働調査会主催による雇用管理改善啓発セミナー(当協会ほか共催)が10月9日と19日の2日間にわたり建産連研修センター201会議室で開催された。
 当日は、社会保険労務士の荻原良夫氏が講師を担当、中小建設企業の人材確保を目的とした①建設業の人材不足の現状②社会保険未加入問題の現状と課題③雇用管理責任者の選任とその役割④「魅力ある職場づくり」の必要性とメリットD建設業で活用可能な助成金制度ーのカリキュラムを4時間にわたり講演した。
 また、労働調査会では「埼玉労働局」からの委託事業として、「雇用管理アドバイザー」を派遣して、魅力ある職場づくりに役立つ相談支援を行っている。建設業における人事・労務管理に精通した社会保険労務士が、企業訪問し、雇用管理の改善を進める上での課題を整理し、課題解決のための手順・方法などについて相談支援を行う。
 費用は無料で、最大11回まで相談支援を受けられる。
 問い合わせ先は、労働調査会・雇用管理改善促進事業部 電話03-3915-6415。


若手社員フォローアップ研修実施

 若手社員フォローアップ研修が10月13日〜14日までの1泊2日の日程で、伊奈町の埼玉県県民活動総合センターにおいて開催され、会員企業31社から100人(うち女性16人)が参加した。
 開校式では、主催者を代表して中村労働委員長が、「入社後半年余りが経過したが、この研修は基本に立ち返り見直していただくと同時に、抱える悩みなどがあれば解決していただくような場でもあると考えている。2日間という短い研修だが、与えられた時間を有意義に過ごすとともに、新たな活力を見つけ出し会社の発展に寄与していってもらいたい」と挨拶した。
 講師は、全国建設産業教育訓練協会・富士教育訓練センターの花輪孝樹先生が務め、まず、実践講座・演習の「人間力向上に向けて〜人生に卒業なし・企業人の行動力〜」、「礼節マナーの成果と応用〜社風や品位の源流・愛される技術者に〜」から始まり、グループ演習・研究の「コミュニケーション活性法〜話す力、聞く力、質問する力〜」、「交流から自己啓発へ〜さらなる親睦をかねて〜」を精力的に消化、1日目を終了した。
 2日目は、「建設業に従事する者の心がまえ〜必要される人材・スキル〜」、「行動試行訓練〜多角的発想と問題解決力〜」、「人間力向上への決意〜明日からの行動計画の策定〜」のメニューにチャレンジ、レポートを作成し終了となった。
 閉校式では、原専務理事より今後の活躍に期待しエールが送られた後、修了書が授与された。


国交省・人材協
作文コンクール「私たちの主張」
土地・建設産業局長賞

現場監督の仕事

平岩建設  平野惠麻

 私は今年、祉会人二年目を迎えました。私は、女性ですが現場監督をしています。最近は女性の現場監督が増えている、という話を耳にすることが多くなりましたが、実際まだまだ珍しいようで、職人さんに「どうして現場監督になったの?女の子なのに。」と聞かれることも少なくありません。私は実際、初めから現場監督を目指していたわけではありませんでした。
 私が建設業の道に進んだのは父の影響でした。私の父は大工の棟梁をしています。家にはたくさんの設計図や施工図があり、幼いころから父の現場へ遊びにいき、仕事をしている姿を見てきました。そんな私には忘れられない出来事があります。それは父の仕事の関係でお施主様にお会いした時のことです。建物を見学させていただいた帰り際に、お施主様が父に「こんな素敵な住宅を作ってもらって本当にありがとうございました」とおっしゃっていたのを見ました。その時のお施主様の笑顔を今でも覚えています。それを見て、私もこんな風に誰かを笑顔にしたいと思い、選んだのが父と同じ建築でした。
 高校、大学ともに建築を学び、現在の建築会社に就職しました。初めは設計をやらせていただく予定でしたが、現場を知っていたほうがより良い.設計ができる、とのことで現場監督をやることになりました。設計または現場監督希望で就職活動していた私にとって、どちらも経験できるいい機会だと思いましたし、幼い頃から父の現場へ行っていた私にとって現場へ出ることへの抵抗は一切ありませんでした。
 現場で働き始めてから七、八カ月たったころ、一つの仕事を任されました。それは、家具の搬入から取り付けまでの工程を管理する仕事でした。初めて任された仕事に不安を感じながらも精一杯やれることをやるつもりでした。家具の搬入一カ月前になり突然先輩から、内装はどこまで終わったのか、また家具の搬入は出来そうか、と声をかけられました。私は固まってしまいました。私は任された家具のことしか頭になく、家具を設置するまで内装がどの程度終わっていなければならないのか、どこに仮置きすればほかの業者の邪魔にならないかなど全く考えていなかったのです。現場には様々な業種の方が来て仕事をしている。その人たちの仕事のスピードも考慮して全体でいつまでに、また、次の業者が来るまでにどこまで終わらせなければならないのか。一つのことだけでなく全体を見て調整をしていくことが現場監督の仕事なのだと、この時初めてこの仕事の大変さを実感しました。
 二年目となった今もわからないことだらけです。そんな私に先輩や職人さんはわかるまで説明をしてくださいます。また、どうやったらいいのかわからないことも相談に乗ってくださったり、忙しい中でも手を貸してくださいます。そのたびに、早く仕事ができるように成長しなければならないという焦りと同時に、私は恵まれた環境で仕事ができていることを実感しています。
 私は、現場監督になってよかったと思っています。お施主様や職人さんとの繋がりも、わからないことが理解できるようになることも、とても楽しく感じます。しかし、仕事ですから楽しいことばかりではありませんし、怒られることだってあります。まだまだ覚えなければならないこともたくさんあり、やっていけるのか不安になることもあります。ですが、現場に出て新しく学ぶことの面白さや私の中でうまくできたと思う気持ちがそんな不安を消してくれます。今の私では誰かを笑顔にすることはまだ出来ないけれど、いつの日かあのお施主様のようにたくさんの人を笑顔にすることが出来るようになるまで、精一杯頑張っていくつもりです。

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