一般社団法人埼玉県建設業協会

トピックス 2014年7月号

関東地方整備局
26年度入札・契約方針の説明会開催

 関東地方整備局は、26年度の入札・契約方針に関する説明会を6月3日午後2時から、建産連研修センター大ホールで開催、約60人が参加した。
 当日の講演内容の概要は次のとおり

◇平成26年度の入札・契約手続きの実施方針について(講師 佐藤 務・技術調査課建課長補佐、城谷泰朗・営繕品質管理管)
 平成26年度は、平成25年度の改善方針を継続実施。実施にあたっては、「基本方針における国土・社会資本・建設産業のメンテナンス」を念頭に置き、視野会情勢、建設産業の動向などに対応できるよう、これまでの試行工事などを含めた実施内容の分析を行い、必要な部分について見直しを図る。なお、「高知県内の入札談合事案を踏まえた入札契約手続きの見直し実施」については、施工能力評価型(一般土木)を対象に本格実施する。
 営繕工事においては、透明性・客観性の確保、効率的な事務手続き、企業の技術力が十分に発揮できる競争環境の確保、維持管理面を重視した工事の品質確保のため、一部見直しを行う。

◇不調・不落に関する取り組みについて(講師 永江浩一郎・技術管理課課長補佐)
  技能労働者の賃金水準の実態に注視。国交省直轄工事の元請・一次下請については、社会保険加入企業に限る方向で検討、地方公共団体など、他の公共工事発注者にも同様の検討を要請する。

◇「情報化施工・新技術活用に関する取り組みについて(講師 大澤一弘・施工企画課建設専門管)
 当初発注で土工10,000㎥以上を含む工事には、TS出来形管理技術を適用する。使用原則化した工事については、特記仕様書にTS出来形管理を使用しなければならないことを記載する。特記仕様書で使用を明示した工事については、総合評価にてTS出来形管理技術(土工)の使用による加点はしない。平成24年度まで普及促進のため、工事費計上した出来形管理技術(土工)の機器費用などは、本省通達に従い計上しない。また、平成24年度まで「ICTの活用」として工事成績評定でTS出来形管理技術(土工)の使用を加点したが、使用原則化した工事では加点しない。

◇特殊車両通行許可制度について(講師 小嶋正一・交通対策課課長補佐)
 車両諸元が一般的制限値を超える車両で通行がやむをえないと判断される場合、橋梁、トンネル、交差点などの道路の構造と通行する車両の重量・寸法を照らし合わせ通行が可能と判断された場合、徐行や連行禁止、誘導車の配置など必要な条件を附して、通行が許可される。


建設VE基礎セミナーを開催

 建設VE技術者センター主催(当協会後援)による「建設VE基礎セミナー」(CPDS認定講習会・14ユニット)が、6月12、13日の両日午前9時30分から、建産連研修センター201会議室で開催された。
 VEとは、使用者(顧客)が求めるものを、機能を確保しつつより安く提供するための管理手法。製造業のコストダウンの基本中の基本であり、建設業でも国や県そしてゼネコンを初め、設計、設備、設計コンサルタントなどの会社が導入している。
 VEリーダー資格は、VEの基本を習得した人に与えられる、公益社団法人日本VE協会が認定する資格で、名刺の肩書に「VEリーダー」と入れておくことにより、顧客の安心と信頼を得やすくなるとされている。
 今回も、VEの基本知識からスタート、VEワークショップセミナーとして機能別コスト分析や機能の評価、提案書作成までの進め方についてグループ学習を通じて学んだ。
 なお、7月8日にはVEリーダー認定試験受験のための対策講座も開催された。


受注環境改善に向け4項目要望
関東地方整備局との意見交換会

 受発注者相互の課題を巡り、関東地方整備局との意見交換会が6月24日、さいたま新都心合同庁舎2号館で開かれ、整備局から深澤局長以下幹部20人が出席したほか、埼玉県から柳沢県土整備部長が、また、当協会からは正副会長、支部長、建築委員長、青経部会長ら17人が出席した。
 冒頭、挨拶に立った深澤局長は、「今年は品確法などが改正されるという大きな動きがあった。すなわち、利益を上げ、担い手育成の面が盛り込まれたということで、画期的な年であるとも言える。公共事業も僅かではあるが13年ぶりに上向いた。こうした中にあって、災害に対する対応、老朽化した社会資本の維持、若者が入職してくる産業への脱却、不調・不落の解決などの課題に取り組んでいくことが極めて重要であり、本日は建設業の将来を見据えた有意義な意見交換の場としたい」と述べ、忌憚のない意見を求めた。
 真下会長は「地域の建設産業も従前に比べ改善は進んでいるものの、離職者の増大、若入職者の減少、技術者・技能者の高齢化、資材の高騰と人手不足による不調・不落、担い手の不足など、建設業の将来に関わる重要な課題を抱えている。協会としても、建設業に対する理解を深めてもらうため、各種事業を展開しており、少しずつではあるが成果が上がってきている。引き続き取り組みを強化していきたい」と述べるとともに、インフラの品質確保と担い手確保・育成の取り組みが一層強化されることに期待した。
 当協会から提案した提案議題は、(1)入札・契約制度の改善について(2)最低制限価格および低入札価格調査の設定範囲(0.7〜0.9)の廃止について(3)設計変更を確実に実施するための取り組み推進(変更指示書の記載内容などについて)(4)実勢価格を適正かつ早期に反映した積算(小規模工事の積算、共通仮設費の積み上げなどについて)の4項目で、これらを巡り活発に意見を交わした。
 協会側から入札・契約制度の改善について、島田副会長が「(1)公共工事発注の平準化(2)監理技術者の配置要件の緩和(下請契約3千万円以上を5千万円以上に引き上げる)(3)指名競争入札の活用」などを要望したのに対し、整備局は、「単年度工事については、工期確保の観点から上半期に発注が多くなる傾向があり、河川工事は施工期間が限られることから、発注時期について制約のかかるものもある。発注計画に関しては、四半期ごとに発注計画を公表しているので活用していただきたい。監理技術者の配置を要する下請金額の緩和については、現場サイドの具体的なデータで詰めていくなど、様々な角度からの議論が必要と思われる。関東地方整備局においては、平成25年度に一般競争入札で複数回不調となった小規模な建築工事と設備工事について、指名競争入札方式で13件の工事公告を行った。また、一般競争入札においても、C、D等級工事における地域要件の設定、総合評価落札方式の「地域密着工事型」、「自治体実績評価型」の試行などにより、地元建設業の受注機会を確保している。今年度についても、競争参加者の応募状況などの確認を行い、調達方式については適切に決定していく」と回答した。
 最低制限価格と低入札価格調査の設定範囲廃止について、山口副会長が「改正品確法では請負者の適正な利潤の確保に配慮することが明記されており、予定価格の適正な設定、適正な設計変更、適切な工期設定などが発注者にも強く求められている。このような状況の中、現在の予定価格の上限拘束性の見直しを目指すとともに、最低制限価格、調査基準価格における設定範囲の廃止」を要望したのに対し、「低入札価格調査の基準については、計4回の改訂を行い、現場管理費、一般管理費などの算入率引き上げを実施した。要望があったことは本省に伝える。また、実態に即した予定価格の設定など、企業の適正な利潤確保に努めていく」と回答したのに留まった。
 設計変更指示を確実に実施するための取り組み推進では、野中副会長が「変更指示書に「概算数量および概算金額の明示」の徹底、設計変更書類作成に係る役割分担の適正化と費用支払い、変更契約などの事務処理の短期化・迅速化を求めたのに対し、「変更指示にあたっては、概算数量がわかる資料を添付した上で指示するよう指導している。概算金額については、総価契約単価合意方式で契約しているため、既存工種の数量の増減であれば、合意単価などから概算額が分かるものと考えている。平成26年度も引き続き「巡回現場会議」を実施し、事務所に適切な処理を行うよう指導していく。設計変更書類作成に係る役割分担の適正化と費用支払いについては、「設計変更ガイドライン」に示しているとおり、役割分担を明確にし、受注者の役割の範囲外であれば適切にその費用を支払うこととしている。さらに、設計変更ガイドラインについては、引き続き事務所へ周知徹底を図っていく」と回答。
 実勢価格を適正かつ早期に反映した積算について、島村土木委員長が「(1)共通仮設費の一式計上の見直し(特に仮設鉄板など「任意仮設」として取り扱われる内容は、現場との差異が大きく、不調・不落の一因となるため、基本から方針を見直してほしい)(2)小規模工事の基準日当たり施工量や施工歩掛り、諸経費率の見直し(3)材料、資材などの仮置き場費や小運搬の費用計上、現場に即した用地借り上げ費などの適正な計上」などを要望したのに対し、「共通仮設費の一式計上の見直しについては、例えば共通仮設費の率に含まれる仮設材の敷鉄板は、建設機械の足場材、仮設材の基礎などに使用するものが該当するが、大量な敷鉄板を敷設するような工事では、率に含まれることが不適当であることから、積み上げ計上することが原則であり、その積算方法については事務所に周知している。小規模工事の日当たり施工量、施工歩掛、諸経費率の見直しについては、小規模工事に限らず全ての規模の工事で実態調査を行い、必要に応じて見直しを行っている。平成26年度の基準書においては、除草工や切削オーバレイ工の見直し、橋梁補修用の積算歩掛の新設を行った。また、維持修繕工事における間接工事費の率対象額の下限値を見直し、小規模施工用の率を設定し26年4月より運用している。材料、資材などの仮置き場費、小運搬費用、現場に即した用地借り上げ費などについては、共通仮設比率において計上されている。これらの費用に関する適正計上については、毎年、「諸経費動向調査」として工種ごとに実態を調査分析し、現行の率式の妥当性について確認している」と回答。


女性の活用が鍵
若年入職者確保などで意見交換

 意見交換終了後のフリートーキングでは、小川北埼支部長が、「若年労働者(技術者・技能者)の入職や定着(離職)」について提議、(1)技術者、技能労働者の賃金問題(2)就労環境改善について(仕事のきつさ、作業環境の厳しさ、休日の少なさ、仕事量減少への不安、時間外労働の多さなど)(3)魅力アップ対策(職業イメージ)(4)技術者確保対策(退職者の活用、女性活用など)(5)就労支援対策の充実などを巡り意見を交わした。
 この中で、協会が工業高校生に対し出前講座を行っている点に着目、「国のサポートについて高校生に説明する用意があるので活用を」と提案があったほか、インターンシップについては、県が総合評価方式で導入企業に1点加点し、さらに見直しを図る」ことなどが紹介された。
 さらに意見を交わした結果、「女性が働きやすい環境を建設現場で構築することが鍵」との意見に集約され、今後の取り組み課題として挙げられた。

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