一般社団法人埼玉県建設業協会

トピックス 2014年12月号

工業高校キャラバン活動
熊谷工業高を皮切りにスタート

 建設産業戦略的広報推進協議会が展開する「工業高校キャラバン」が10月30日、熊谷工業高校建築科を皮切りにスタートした。
 キャラバン隊は、国土交通省や学識経験者のほか、建設会社とその協力会社の技術者、技能者などで構成され、将来を担う若者を“お迎えする”という視点に立ち、建設業の現状や展望、やりがいなどを伝えるもの。 
 同日は、建築科2年の35人を対象に、国土交通省、大林組、大林組の協力会社鈴木組から講師陣が参加、それぞれの立場から建設業への思いや体験談などを語った。
 まず、国土交通省の屋敷・建設市場整備課長が「建設産業の課題に対する行政の取り組み」について解説したのに続き、大林組の田渕・安全環境部長が「高さ634mへの挑戦」と題して、東京スカイツリー完成までの記録や使われた最新技術などを披露したほか、鈴木組の中村工事長が専門工事業とび職の「職長」として、雪害復旧工事に取り組む姿を紹介した。
 工業高校キャラバン活動はこの後、11月17日に千葉県立東総工業高校建設科1年40人、12月11日に熊谷工業高校土木科1年40人、同16日に埼玉県立大宮工業高校建築科1年80人、同19日に東京都立田無工業高校都市工学科1年38人と2年25人を対象にそれぞれ実施する計画だ。
 15年度以降には首都圏以外でも実施したい考えで、いずれは普通科高校での開催も視野に入れている。


平成26年度技術発表会開催
優れた技術13事例を発表

 平成26年度技術発表会が11月5日午後1時から、大宮ソニックシティ・小ホールで開催され、土木工事6事例、建築工事6事例、埼玉県発表1事例の、合わせて13事例が紹介された。
 この発表会は、埼玉県後援、埼玉県市長会・同町村会協賛のもと毎年開催されており、今年で16回目を迎える。同日は、国、県、市町村など公共工事発注機関の関係者をはじめ、各会員企業を合わせた約400人以上の参加者を前に、これまで培ってきた高度な技術力、施工力などが披露された。
 発表会に先立ちあいさつに立った真下会長は、「今年度の通常国会で、公共工事品質確保促進法、入札契約適正化法、建設業法の、いわゆる担い手3法が一体改正されたことにより、明るい兆しが見えつつあると感じている。今回の改正では、入札契約方式が大きく変わり、発注機関は建設産業の担い手育成・確保と適正利潤の確保に配慮することが明記され、低迷する建設市場が回復することが期待されている。当協会では、地域の良質な社会資本整備を推進し、防災や災害復旧の担い手としての責任を果たすため、会員企業の経営基盤の強化をはじめ、発注機関の皆様のご期待にお応えできるよう、施工管理能力・企画提案力・技術開発力の向上などに取り組んでおりますが、こうした取り組みの一環として本年度も、会員企業から応募された工事事例の中から12事例をご披露させていただきます。また、特別参加として埼玉県県土整備部河川砂防課様の事例をご披露いたしますので、建設技術者の日々の成果をじっくりご覧いただきたい」と述べ、地元建設企業に対する一層の理解と支援を求めた。
 また、後援者として埼玉県県土整備部の酒巻和彦副部長が、来賓として関東地方整備局の井出統一・大宮国道事務所副所長がそれぞれあいさつ、「後世に質の高い社会資本を残していく必要から、当技術発表会開催の意義がある」とし、品質確保のため一層の技術力向上と人材の育成を促した。
 発表終了後、閉会のあいさつに立った伊田副会長は、「我々会員企業は、それぞれがそれぞれの場で公共、民間を問わず、各種工事に的確に対応できる技術力、施工力を十分備えていると自負しております。さらに一層の技術研鑽・向上を図ってまいりますので、どうか、会員企業への理解をいただき、引き続き受注機会の確保、増大のために特段のご指導、ご支援をお願いしたい」と述べた。

発表事例

[土木部門]
▽初雁興業3Dレーザースキャナーを利用した既存構造物計測の工夫(橋梁耐震補強工事)
▽小川工業 大口径の中堀拡大根固め工法におけるトラブル防止対策(高架橋下部工事)
▽島田建設工業狭隘な現場環境における安全対策および施工方法(橋梁耐震補強工事)
▽金杉建設フロート台船から打設するH鋼杭を所定の位置に鉛直に打設するための工夫(迂回仮橋設置工事)
▽松永建設軟弱地盤での護岸ブロックの沈下・変状対策について(橋梁下部工事)
▽真下建設荒川笹目堤防強化工事におけるICTの導入(築堤工事)
[建築部門
▽丸和工業大正11年に建立された国の登録有形文化財(高校校舎)の大規模改修工事の施工について(深谷商業高校記念館全体改修工事)
▽平岩建設結露対策(ブラン製薬新工場新築工事)
▽ユーディケー居ながら施工における耐震補強工事の工夫(県営団地耐震補強工事)
▽岩堀建設工業曳家回転移動改修および耐震補強工事(礼拝堂移転改修および付属棟新築工事)
▽伊田テクノスBMIモデルによる設計施工物件の受注拡大(西所沢駅前ビル新築工事)
▽古郡建設地域の活動・交流拠点施設におけるカーテンウォールの美観維持(入西地域交流センター建設工事)
特別参加
▽県土整備部河川砂防課県と市町村が連携した河川・下水道の一体的整備による水害対策

平成26年度埼玉県優秀建設工事表彰式
会員企業16社が受賞

 埼玉県は11月10日午前11時から、知事公館において「平成26年度埼玉県優秀建設工事施工者表彰式」を開催した。
 県では、25年度に完成した表彰対象工事701件の中から優秀賞11件と、特別奨励賞8工事を選定、上田知事からそれぞれ表彰状が手渡された。なお、受賞者18社のうち16社が当会員企業で、島村工業はダブル受賞、ユーディケーは3年連続、守屋八潮建設、初雁興業、本庄土建、小沢道路は2年連続の受賞となった。
表彰式に先立ち上田知事が、「今年でこの表彰式も28回目を迎えるが、表彰することでお互いを確認、切磋琢磨することで技術の向上や、優れた施工につながる有意義な場となっている。各地で自然災害が多発している中にあって、特に埼玉県では2月に大雪に見舞われ、改めて地域の皆様の力を感じた。技術力は県内企業発展の基礎ともなるべきもので、技術力で競いながら埼玉県の発展のために今後とも尽力を願いたい」と式辞を述べた。
 来賓祝辞では、建産連の古郡会長と当協会の真下会長があいさつに立ち、受賞者を讃えるとともに、今後とも後世に残る質の高い社会資本整備の推進のため、一層の研鑽を促した。
 最後に受賞者を代表して、金杉建設の吉川一郎社長が「今回の受賞は家族だけでなく、関係協力企業および社員一同の喜びでもある。受賞を大きな契機として、さらに技術の研鑽に励み、より品質の高い工事を完成させるべく努力していきたい」と謝辞を述べた。
受賞者は次のとおり

【優秀賞】
土木部門
三上工務所 ― 右岸流域処理場特受変電設備改築土木工事(和光市新倉7丁目地内)
ユーディケー ― 大久保浄水場西部系樋管(下流側)耐震補強工事(さいたま市桜区大字在家地内)
本庄土建 ― 川のまるごと再生プロジェクト推進工事(元小山川遊歩道整備工その2)
金杉建設 ― 吉川橋迂回仮橋設置工1工区、都市計画道路越谷吉川線(吉川工区)街路整備工事
真下建設 ― 24熊中第405号ほ場整備工事(熊谷市玉井地内)
島村工業 ― 市野川河川改修工事(愛宕樋管工その2)
小沢道路 ― 国道122号蓮田・閏戸工区舗装修繕工事
羽生工業 ― まちのシンボルロード整備工事(県道羽生停車場線)
建築部門
島村工業 ― 農業大学校移転整備食堂棟ほか新築工事(熊谷市樋春地内)
設備部門
ソーセツ ― 議事堂空調設備改修工事
埼玉設備工業 ― 農業大学校移転整備職員棟ほか機械設備工事(熊谷市樋春地内)
【特別奨励賞】
土木部門
高元建設 ― 越谷北高校グラウンド改修工事(越谷市大泊500-1地内)
日建 ― 元荒川河川改修工事(護岸工屈巣工区その1)
守屋八潮建設 ― 上久通予防治山工事(飯能市大字南川地内)
内藤建設工業 ― 女堀川護岸工事(本庄市児玉町関地内)
初雁興業 ― 国道254号舗装指定修繕工事(富士見市水谷東地内)
田村工業所 ― 川越上尾線中老袋高架橋整備工事(川越市中老袋地内)
建築部門
高信工業 ― 春日部地方庁舎屋上防水改修工事(春日部市大沼1-76地内)
設備部門
丸電 ― 埼玉会館大ホール舞台照明設備ほか改修工事

土木の日のイベント
「はたらくくるまの広場」開催される
さいたま県土 近隣園児150人を招待

 さいたま県土整備事務所(吉田 学所長)は、土木の日のイベントとして「はたらくくるまの広場」(当協会協賛)を11月17日午前10時から、さいたま県土整備事務所中庭で開催、近隣の園児150人を招待した。
 同イベントは、建設業のイメージアップのほかに、手と手、指と指が触れ合う機会を通して、未来を担う子供たちに「建設業の大切さ、ものづくりの面白さ」を伝えることを目的に催されたもので、同日は、浦和つくし幼稚園の年中組4クラス138名とちびっこランド武蔵浦和保育園25名が参加、建設機械の実演見学や試乗をはじめ、建設機械の模型操作や砂場でトンネルづくりを体験するなど、建設業への理解を深めてもらうための各コーナーを楽しんだ。
 また、子供たちの安全に配慮するため、県土整備事務所、当協会さいたま支部、協力会社など総勢60人体制で運営に当たった。特に、アクティオ、イマギイレ、共和機工、産栄車両工業、島根建材、仙台銘板の6社の協力会社には機械や資材の提供などを含め多大な負担をいただいた。


秩父支部
南小学校の校外学習をサポート

 当協会秩父支部(建災防秩父分会後援)は、秩父市立南小学校の校外学習の一環として、現在工事中の皆野秩父バイパス現場見学会を11月19日に実施した。
 当日は、秩父市教育委員会、埼玉県西関東連絡道路建設事務所、秩父労働基準監督署、支部役員、建災防などの関係者が多数出席、28人の生徒達(3年生)の校外学習を見守った。
 まず、西関東連絡道路建設事務所の山崎部長の挨拶、斎藤支部長からのヘルメット45個の目録贈呈が行われた後、工事の概要について建設事務所の門間課長より説明を受けた。
   続いて、山口組工事部の新井公裕氏より「働く人たちの仕事と暮らしへのつながり」をテーマに、実際の重機の動きを見せるとともに、高速道路完成後には人々の暮らしがどのように変化していくかについてわかりやすく解説した。
 さらに、距離の実測として生徒が歩幅で計測後、巻尺と光波で計測、その誤差を確認するゲームを行い終了となった。今回の校外活動は、学校だけでなく、仕事の現場を知ることで地域との連携を深め、より安全な環境づくりに結び付けていくのがねらい。
 なお、秩父市教育委員会では、安心・安全な学校をつくるため、危険予知への取り組みを行っており、WHO(世界保健機構)認証の「地域安全推進協働センター」が、より安全な教育環境づくりを目指す学校であることを認める「国際認証」(インターナショナルスクール)を取得すべく準備を進めている。対象は、花の木小学校、南小学校、秩父第二中学校の3校で、来年度申請をする予定。


作文コンクール入賞作品

 建設産業人材確保・育成推進協議会が実施した平成26年度「私たちの主張」および「高校生の作文コンクール」において、埼玉県から滝澤麻由(大宮工業高校2年)さんの作品が佳作に選ばれましたので紹介させていただきます。

建設業に対するイメージ

大宮工業高校2年 滝澤 麻由

 私は、工業高校建築科の二年生です。今の学校に入学を決めた理由は、建設業に関わっている家族を見てきたからです。国土交通省で災害査定官をしていた祖父、建設業の会社で斜面災害の仕事に関わっている父、橋を作るために大学で勉強している兄。この三人を見ていて、私も形に残る物を作る人になりたいと思うようになり建築科へ入学しました。 祖父は、私が小学校の時にはすでに定年していましたが、仕事をしていた時の話を聞いたり、携わった現場などに連れていってくれました。その中で、一番印象に残っているのが伊勢湾台風で被害があった愛知県海部郡飛島村で災害復旧の仕事をしていたという話です。当時、祖父は台風によって水害にあった飛島村で、新しい堤防を作ったり、被災した道路を作る作業に関わったそうです。水没した土地が低かったため、被災した地域の人々が元のような生活になるには、台風から半年以上かかったというすごい災害だったそうです。
 飛島村には父方の親戚が住んでいて、何度も行ったことがありますが、祖父から初めて話を聞いた時にはびっくりしました。今ではコンクリートの堤防がしっかりと整備されています。それを作る仕事に祖父が関わり、今でもそこに住んで人々の暮らしに役立ち形に残っているのを見て、心に響くものがありました。
 父は、雨などで地滑りが発生した斜面を直すといった災害に関わる仕事をしています。動いた斜面をアンカーという工法でコンクリートなどの材料を使い、崩れないように法面を作っています。このため、台風などで雨が多い時は工事中の現場の斜面の動きをとても気にしている父の姿を見ます。
 私が小学校の頃、父が何の仕事をしているのが解らず、母に「お父さんは何の仕事をしているの?」と聞いたことがあります。母は「そうだなあ、お父さんは山のお医者さんかな」と言いました。その時は「ふーん」とよく解らず聞き流していましたが、今では母が当時言っていた意味が解るようになりました。父は何度も現場に足を運び、崩れた斜面を診断して、最適な材料と工法で元の斜面より良い法面にしています。私は医者というより職人だと思います。
 私は、祖父や父の話を聞いたり仕事をした現場を見たりして、建設は自然と人々が共存するために力を貸す仕事だと思います。自然と人が共存していく中で、自然を生かしながら人がより住みやすく、生活しやすい環境にするために建設は形ある物を作っています。今私が勉強している建築も、人と自然が共存するといった「思いを形にする」という所では一緒だと思います。私も祖父、父そして兄と分野は違いますが、自然と人の仲介となる物を作れる仕事に関わる一人になりたいです。

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